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- 第5回アジア・ビーチ・ゲームズ in ダナン-
2016年9月24日から10月3日までベトナムのダナンで開催された第5回アジアビーチゲームズ(ABG)にビーチプンチャックシラットの審判として参加しました。
JOCが本大会に派遣した日本選手団は全22競技のうち、8競技へ選手54名。第1回大会から全体の競技総数は増加しているにも関わらず、日本からの派遣競技数は漸減、派遣選手数は半減しています。そしてプンチャック・シラットは諸費用を捻出できず、選手派遣を断念しました。
第5回アジアビーチゲームズ(ABG)概要
(1)大会について
(2)大会参加国
(3)大会日程
(4)プンチャック・シラット競技種目
(5)プンチャック・シラット競技結果
大会こぼれ話・裏話
9月24日(土):初ベトナム、周辺散策
9月25日(日):予定判明
9月26日(月):暑い
9月27日(火):初日、日没エンド
9月28日(水):機械使い初め
9月29日(木):ただひたすら暑い
9月30日(金):テスト運用は大事
10月1日(土):最終日、決勝
10月2日(日):ダナン散策4時間
10月3日(月):帰国
第5回アジア・ビーチ・ゲームズ(24th Sep~ 3rd Oct. 2016)概要
2008年にバリで開催された第1回大会から8年が経ち、3大会ぶりに競技シラットがビーチゲームズに復活。第1回大会では原則としてどの競技もビーチ=砂あるいは海で実施されていたのが、今大会ではプールあり、半屋内+マットレスあり、と大分様変わりしていた。変わらないのは会場の暑さだけ。あんな炎天下でスポーツをするなんて、人間とはなんて物好きな生き物なのか。
アジアオリンピック委員会主催の大会とはいえマイナーゲームであり、実施される競技も微妙にマイナースポーツなため、ちょっと盛り上がりと知名度に欠ける。それでも、22競技で熱戦が繰り広げられた…はず。ともあれシラットは熱かった。じゃない、暑かった。
参加国は41ヶ国。全ての国が全競技に選手を派遣したわけではないが(むしろ全競技に派遣する方が少数派)、全体で2000人を超える選手が登録したようす。最大の選手団は当然ながら開催国ベトナム。次いでタイ、そしてインドと中国が3ケタの選手を派遣していた。参加者が多ければ当然、メダル獲得数も多くなり、メダルラリーのトップは開催国ベトナムで幕を閉じた。
ビーチ・プンチャック・シラットには9か国から102人の参加があった。9か国の内訳は、東南アジアの インドネシア、マレーシア、フィリピン、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナムにイランとインド。
第5回ABG大会日程
開会式前に始まった競技があるものの、ABGそのものは9月24日(開会式)〜10月3日(閉会式)まで。ビーチ・プンチャック・シラットは9月27日〜10月1日の5日間に行われた。事前案内では午後の部15時〜と夜の部20時〜の2部制を予定し、組合せ抽選の結果、午後の部だけとなり、最終的には午前の部8時〜と午後の部15時〜の2部制となった。この経緯については本文にて・・・
日付 | イベント |
27(火) | 開会式、演武部門男女トゥンガル決勝、演武部門男女ガンダ決勝 |
28(水) | 演武部門男女ルグ決勝、試合部門1回戦 |
29(木) | 試合部門準々決勝 |
30(金) | 試合部門準決勝 |
1(土) | 試合部門決勝、表彰式 |
プンチャック・シラットの試合には大きく分けて、体重別の階級で打ち合う試合部門と規定の型を競う演武部門とがある。今大会では以下のクラス/型でそれぞれの技が競われている。カッコ内は参加選手数。
なお、今大会では変則的に「- Each participating NOC may enter maximum of nine (9) Tanding events: six (6) Men events and three (3) Women events and one (1) athletes per category. - Each participating NOC may enter maximum of three (3) Seni events and one (1) athletes may enter maximum of two (2) events. 」との参加人数制限が課されている。つまり、試合部門12種目(男子8・女子4)に対し、一つの国が派遣できる最大選手数は男子6・女子3。演武部門の場合、6種目(男子3・女子3)に対し、一つの国が派遣できるのは3種目まで。
1.男子試合部門(Tanding) Bクラス - 50kg以上55kg未満 (5) Cクラス - 55kg以上60kg未満 (6) Dクラス - 60kg以上65kg未満 (8) Eクラス - 65kg以上70kg未満 (5) Fクラス - 70kg以上75kg未満 (4) Gクラス - 75kg以上80kg未満 (6) Hクラス - 80kg以上85kg未満 (6) Iクラス - 85kg以上90kg未満 (6) |
2.女子試合部門(Tanding) Bクラス - 50kg以上55kg未満 (6) Cクラス - 55kg以上60kg未満 (7) Dクラス - 60kg以上65kg未満 (6) Eクラス - 65kg以上70kg未満 (4) |
3.男子演武部門(Seni) Tunggal (ソロ) (6) Ganda (ダブルス) (4組) Regu (3人チーム) (3チーム) |
4.女子演武部門(Seni) Tunggal (ソロ) (4) Ganda (ダブルス) (3組) Regu (3人チーム) (3チーム) |
当然のように開催国であり、強豪でもあるベトナムがシラットにおけるメダルラリーのトップ。マレーシアが演武部門ガンダで金メダルを獲ったのは恐らく、初めて。国際大会でインドネシアが金メダルなしなのも初めてみた。
種目の後の()はエントリー数。4人以下のエントリーあるいは組合せ抽選の結果で即準決勝を引き当てた場合、3位決定戦を行わないシラットでは勝敗に関わらずメダル獲得となる。
部門 | 種目 | 結果 |
男子試合 | Bクラス(5) | 1.ベトナム 2.タイ 3.ラオス、フィリピン |
Cクラス(6) | 1.ベトナム 2.フィリピン 3.ラオス、タイ | |
Dクラス(8) | 1.ベトナム 2.マレーシア 3.インドネシア、フィリピン | |
Eクラス(5) | 1.タイ 2.フィリピン 3.インド、シンガポール | |
Fクラス(4) | 1.マレーシア 2.イラン 3.インド、タイ | |
Gクラス(6) | 1.ベトナム 2.マレーシア 3.インド、シンガポール | |
Hクラス(6) | 1.ベトナム 2.インドネシア 3.インド、シンガポール | |
Iクラス(6) | 1.シンガポール 2.ベトナム 3.イラン、インド | |
女子試合 | Bクラス(6) | 1.タイ 2.フィリピン 3.ラオス、ベトナム |
Cクラス(7) | 1.タイ 2.ベトナム 3.ラオス、シンガポール | |
Dクラス(6) | 1.マレーシア 2.シンガポール 3.インドネシア、フィリピン | |
Eクラス(4) | 1.ベトナム 2.マレーシア 3.インド、シンガポール | |
男子演武 | Tunggal | 1. タイ 2. インドネシア 3.シンガポール |
Ganda | 1. マレーシア 2.インドネシア 3. タイ | |
Regu | 1.ベトナム 2. ベトナム 3. ラオス | |
女子演武 | Tunggal | 1. シンガポール 2. ベトナム 3. マレーシア |
Ganda | 1. ベトナム 2. マレーシア 3.ベトナム | |
Regu | 1. ベトナム 2. シンガポール 3. タイ |
大会こぼれ話・裏話
大会こぼれ話・裏話とダナン市内観光とか。
初めてのベトナムは羽田発の深夜便利用。羽田に深夜着をしたことありましたが出発するのは初めてだったので、いろいろと面白かったです。1時台の便のため、前日23日(金)には空港に到着していましたが…羽田は24時間なのに諸々と閉まるのが早い。ドンキくらいは24時間でやってるのかと思えば、こちらも23時閉店。それでも他の22時閉店に比べれば遅い方でしたけれども。ATMもゆうちょ銀行のは23時時点で使えなくなってました。三井住友・みずほ・セブンは稼働していたようですから、ゆうちょのお役所体質が推察されます。
眠い目をこすりながら機内に入り、あとはただひたすら爆睡。一度だけ、ご飯に起きましたが。ありがたいことに、JALのムスリムミールは味が改善されてました。前に利用した時は果物しか完食できなかった…ハラル認証取得後(参考プレスリリース)、メニューがもはやムスリムミールの代名詞といっても過言ではないカレーにはなりましたが、おいしいカレーでした。ありがとう大塚。でもそろそろ日本発便はカレー以外のものでお願いします。あと、JALさんには航空券予約の際にウェブサイトでムスリムミールを注文できるようにしてもらえると助かります。助かるっていうか、他の航空会社は普通にそれができます。「メール、もしくは電話での申し込みが必要」ってどういうことですか。
乗継はホーチミン。ハノイよりは日本から距離がありますがKLやJKTに比べれば近いので、結構早く着いた感じがしました。5時台、つまり世間が動き出す前の到着だったので、空港は閑散としています。アジア・ビーチ・ゲームズ(ABG)のボランティアブースと思われる机などもありましたが、まだ無人。
国際線はJAL、ホーチミンからダナンへの国内線はベトナム航空への乗継です。いったん荷物を引き取り、チェックインとかしないといけません。初めて利用する空港ですが、乗継時間は3時間あるので、焦らずにすみました。到着前は国際線ターミナルから国内線ターミナルへの移動(位置)がちょっと心配でしたが、わかりやすい表示が出てて助かりました。それにしても、ベトナムの空港はきれいです。ゴミが落ちてない。人がちゃんと座るべき場所に座ってる。マレー系の自由奔放さとはまた違った「東南アジア」でした。
国内線ターミナルでのチェックインには少し並びました。飛行機で移動する人、多いんですね。土日の週末だからかな。そして列を整理する紐や線もないのに、みんなちゃんと並んでるのはちょっとした衝撃。ベトナムのスタバと言われるハイランドコーヒーで少し時間を潰し、ダナンに向かいます。あと意外だったのは、国内線の待合エリアにお坊さんが沢山いたこと。滞在中、祠や寺院の多さ、車に飾られたお線香など目にし、ベトナムは仏教国なのだと認識を改めました。
ダナンに着くと、そこにはABGのボランティアが待機していました。でも、待機しているだけ。過去の経験から言えば、OCA絡みの大会の場合、到着(最寄)空港には出張事務局みたいなブースが設置されてるものです。その場でIDが発行されたり、ホテルへの車が手配されたり…それが今回は本当にボランティアって感じ。まず、「ABGに来ました」と自己申告。するとメモ帳に手書きで「どの競技の誰がなんの便で」到着したか、を書き込んでいます。しかも、連れて行くべきホテルを全く把握していません。幸い、FBやWA経由で「ここらしい」という情報はあり、空港にwifiが飛んでいたためにそのホテル名を伝えることはできましたが、これではなんのために到着・帰国便を事前に通達したのかわかりません。そして当然ながら、本日以降のスケジュールをボランティアは全く知らない。それが一番聞きたかったことなのに、困ったものです。運営はリストを作ったり、もろもろ把握していたのでしょうけれど、ボランティアの学生にそういった情報が降りてきてなかったんでしょうね。先が思いやられます…とにかく、IDがないのは困る。
そしてホテルに向かう前に、SIMカードを手に入れたいとボランティアに伝えます。販売所で「通話とSMAだけでいい?」と聞かれたので、「ポケモンやりたい」と言ったら笑われたw それに見合うデータ通信つきのカードをバチコンとnanoサイズに切りだし、APN設定までしてくれました。ちなみにお値段120,000VDN=600円くらい。これで1週間の滞在中、なんの問題もなく使えました。1日1000円ほどのローミングとかあほらしくて使えません。ってローミングのできるようなキャリアSIM自体を持ってないのですが。SIMカードの手続き中、ブルネイとフィリピンの審判と合流。彼らとともにホテルに到着したのが10時過ぎ。食事はホテルで提供されますが、それまでまだ時間があります。飛行機で3,4時間仮眠した程度の状態を解消すべく、まずは昼寝。
ベッドで寝たおかげで体がすっきり。どうやら今日は本当になにもすることがないので、ホテルの周囲を散策することにします。ダナンといえばドラゴンブリッジ。ホテルから歩いて行けそうです。
ホテルのすぐ近くにマッサージ店があり、とりあえず値段を聞いてみようと入ってみました。イマイチ英語の通じないお姉さんたちが言うには「1時間30ドル」。物価や為替を考えると日本の「半額」というのは安くはない。いずれにせよ食後すぐなので、今すぐにマッサージを受けるつもりはありません。退店しようとしたら「20ドル」と値段を下げてきました。お腹が落ちつたら受けてもいいかな、と思いながら店を後にします。
昼下がりで既に活気を失っている小さな市場を過ぎ、名物のドラゴンブリッジに到着。全体として歩きやすい歩道ではありませんが、道にゴミがないのは素晴らしいと思います。自由時間がある今のうちにお土産を買ってしまおう、とホテルから歩ける距離にあったモールにも行きました。ベトナム語は全くわかりませんが、お土産として人気がある(定番?)な商品には英語表記やハラール認証、韓国語表記が見られました。バリ土産に日本語表記があったみたいな感じかな。韓国からはダナンへの直行便もいくつかあるようですし、ハングルを目にし、耳にすることがよくありました。
まだ夕飯が提供されるまで時間があるので、最初に立ち寄ったマッサージ店に行きます。先ほどはお姉さんたちしかいませんでしたが、今度は店長っぽい男性がカウンターに座っていました。値段を聞くと「1時間15ドル」 あれ?さては先ほどのお姉さんたち、鬼(店員)の居ない間に小遣い稼ぎしようとしたね?まあ、いいけど。マッサージそのものはタイ風っぽかった。多分。
ホテルに戻って夕食を食べ、そのまま部屋に引きこもりです。あ、夜にインドネシア組が到着し、ルームメイトができたんだった。言葉が通じる人と相部屋だと楽。さて、明日はどんなスケジュールなのやら。
公式サイトのウェブサイトに公開されていたハンドブックによれば、今日は朝9時からと午後2時から審判講習が予定されています。しかし、講習をリードするはずのインドネシア組は本日の予定を知りません。いわんや他の審判。しかも、昨日と今朝、まだ誰もベトナム審判と会っていないのです。シラット審判団、完全放置。
この調子では9時になにかが始まるとも思えません。IDがないのはちょっと不安ですが、散歩がてら会場の見物に行こうと思います。朝食後ロビーにおり、あわよくば会場に行く車に同乗できないかなーとボランティアに相談してみました。が、IDがない&シラット担当の車ではないので、相乗りはさせてくれないそうです。そうこうしているうちに、ベトナム審判が現れました。おかげで、なんとか今日の予定が判明。
やはり午前の予定はなし。午後は会場で審判講習を行うとのこと。ロビーに14時集合、と伝えられました。14時集合…随分と暑い時間帯に海岸に行かねばならないようです。とりあえず午前は暇なことが確定したので、タクシーに乗って会場に行くことにしました。今日、既に始まっている競技もありますから。
ホテルから5分ほどで着いた海辺の会場は暑かった…浜辺は遮るものがなにもないので、本当に暑い。
それにしても、「ビーチゲーム」の定義ってなんなんでしょう。てっきり、砂の上あるいは海の中でやる競技が「ビーチゲーム」なのだと思ってました。ビーチバレー、ビーチサッカー、ビーチレスリング、ビーチシラット…それがどうでしょう、ビーチバスケット?柔術?ビーチサイドでやればいいってことなんでしょうか。後日、水球はプールでやっていたこともわかり、益々謎。
あまりに暑くて、一か所に5分と居られません。疲労困憊する前にホテルに戻りました。一休みして、14時には集合です。そして、午後の海岸も暑かった。そんな暑さの中、とくにすることもなく海岸をぶらつく審判たち…会場の設営が終わってないのでなにもできないのです。できることといえば、砂の感触を確かめるくらい。暑い中、下見にきただけで終わりました。
ちなみに午前中は組合せ抽選などを行っていたようです。その結果を聞くところによると、シラットへの参加国は9か国、試合数は50ほど。大会開始前には午後と夜の2部制と案内されていましたが、想定より参加者数が少ないため、午後の部のみが行われることになりました。ということは、午前だけではなく、夜もフリー。自由時間の多い大会になりそうです。暑いし、これくらい余裕のあるタイムスケジュールを組んでもらえるというのはありがたい。(でも、ぬか喜びだった)
会場暑いね、ということを確認して終わったベトナム2日目。明日は7時半ロビー集合です。
8時から会場で何をするかといえば、演武部門採点のための復習です。軽くストレッチをしてから、トゥンガル(ソロ演武規定型)の確認に入ります。1時間ほどして、年配のブルネイ審判が救急車案件になってしまいました。どうも今朝は高血圧の薬を飲み忘れたらしく、そこに暑さの中で動いたことが重なり、気絶してしまったようです。幸い大会会場ですから、すぐに医療班が駆けつけ、大事には至りませんでした。でもまさに、殺人的な暑さです。昨日と今日の印象では、10時前から15時過ぎくらいまでが暑さのピークで、人が外で活動、ましてやスポーツをするのに適した気温ではありません。
午前中、トゥンガルの後はルグ(チーム演武規定型)を確認し、午後はフリーの予定でした。が、トゥンガルを終えた時点で会場設営が始まってしまいます。審判の復習は強制終了、午後に持ち越し。まあ暑いし、救急車案件も発生してるし、いいんですけど。実際の試合が行われる時間帯より少し早い、14時から再開となりました。
午後14時…暑い。本当に暑い。全員一致でルグ(チーム演武規定型)の確認はしない、との結論にいたりました。国際審判資格取得者ばかりが集まっているのです、復習・確認しなくてもわかってるでしょ、という。まあ実際にはそうでもなかったりしますが、演武部門が怪しい審判は採点審判として任命されないから大丈夫なのです(多分)。
屋外での実技の代わりにエアコンの設置されているテントの中で、質疑応答となりました。なにか確認したいことがある審判が質問をぶつけ、全体統括がそれぞれに回答していきます。あとは砂の上で行うからこその注意事項などが伝達されました。故意に砂を使った相手への妨害行為について(減点対象)、選手が申し出る水分休憩には寛大に対応する、など。
本番を明日に控えたこの時点でも、まだ判明していなかったことが一つあります。それは採点方式について。紙を使ったマニュアルなのか、電子システムを使ったデジタルなのか。結局、デジタルでした。しかし、最初に開発したインドネシアのシステムではなく、本大会のスポンサーであるタイの会社がバックアップして作った「新システム」と、そこがマレーシアに発注した「新機械」を使ってのデジタル方式でした。もう、問題が発生する予感しかしない。なぜなら、「開発者がシラットの素人」「ミニゲームなどでの使用実績なし=テスト運用をしていない」「機械は暑さに弱い」からです。しかも午後の時点で機械がまだ到着していない…
夕方17時を過ぎて到着し、セッティングされた機械の外見はまあ、悪くはない。インドネシア式システムよりボタンが大きくて使い易いような気もする。画面はタッチパネル、システムはWindows。日が暮れるまでに少し触った感じでは、ボタンは押しやすいけれども、画面に表示される点数の流れが逆*だったり、間違えた時の訂正システムが煩雑**だったり、と実際の試合での運用に不安が残るものでした。しかも、審判統括のPC画面およびそこと連動している公開スクリーンに、各審判手元の装置の採点が反映されるまでに時間がかかるケースが何回かありました。この時は大きな問題だとは思わなかったんですけども。
*点数の流れが逆:マニュアルの場合、点数が入ると右に増えて(書き加えて)いく。1点、2点、1+1点と点数が入れば、採点用紙には「1、2、1+1」と書かれる。これを踏襲しているインドネシア式システムもまた、画面表示は「1、2、1+1」となる。今大会の新方式はこの「紙時代」を開発者が知らないからか、古い点数が右に流れていく。つまり「1+1、2、1」と表示される。慣れの問題だとしても、いきなりビックゲームで使われるとつらい。
**訂正システムが煩雑:インドネシア式システムの場合、間違えたと思った瞬間にDELを押せば、直前の点数が消去される。例えば、赤に入れるべき2を間違って青に入れてもすぐに訂正することが可能だ。しかし、今大会の新方式の場合、DELを押すと点数一覧がポップアップで表示され、そこから消去したい点数をタッチパネルで選択し、画面のDELをタッチして確定、さらにEXITをタッチしてポップアップ画面から出る、という手順が必要となっている。消去している間にも試合は続くので、この間の採点作業が行われないことになってしまう。
明日の午後から、いよいよ本番です。が、審判は機械を再度チェック・練習するために、またもや午前集合となりました。自由時間の多い滞在になると思っていたのが一転、初日以来ほとんどフリータイムがありません。
昨日より少し遅く、機械の再確認のためだけに9時に会場入りした審判団。日暮れに確認した機械の画面は、日中の太陽光の元ではかなり見づらいことが判明しました。が、マニュアル採点する、あるいは他のシステムを導入するなどの代替手段があるわけでもなく、不安はあるものの、この新方式を使って採点されることが決定です。
一度ホテルに戻り、15時の開始に備えて14時に会場入りです。
通常、シラットでは試合に先立ち「ブカ・グランガン」という儀式を行います。大会の円滑な進行を祈念するために演武を行い(一般的には年長者)、クリスを大会運営者に託すのです。さらにこのクリスは、大会運営者から試合を管理監督する競技委員長に託されます。大相撲の土俵開きのようなものでしょうか。
なんと驚いたことに、ベトナム側はこの準備・用意をしていませんでした。今日の段取りの中に全く入っていません。が、この儀式はシラットにとって不可分とのことで急遽、マレー系が主導してプログラムの中に組み込まれました。マレーシア審判が演武に立候補し、マレーシアチームがガンダのために持参していたクリスを使って、ブカ・グランガンが行われました。不安な立ち上がり(苦笑)
15時から開会式、ブカ・グランガンが行われ、今日の予定である演武部門が15時半に始まりました。これから2時間ちょっと、17時半過ぎの日没までに女子トゥンガル4人、男子トゥンガル6人、女子ガンダ3組、男子ガンダ4組、女子ルグ3チーム、男子ルグ3チームを採点しないといけません。どの演武も演武時間は3分。出入りを考慮し1人(組・チーム)あたり5分として…単純計算で115分、約2時間。まあ、なんとか終わるはず。
最初の2種目、ソロ演武のトゥンガル選手たちは気の毒でした。全員、採点審判の日避けパラソルにトヤ(棒)をぶつけるというアクシデント。審判席に座った時に武器台の位置を見て、ちょっとまずそうだなあ、とは思ったんです。案の定、トップバッターの選手はパラソルにトヤをばすっとぶつけました。それを見ていた次の選手、気をつけてはいたようですが、やはりパラソルをかする。暑いですし、トゥンガルは規定型ですから臨機応変に変更するわけにもいかず。
女子の演武が終わった後、男子の演武の際に武器台の位置を下げるかと思えば、そういうこともなく。下げると今度は場内中央との距離がおかしくなってしまいますから、そう簡単に動かすわけにもいかないのでしょう。パラソルをどけたら審判が暑さで死にますし、トヤの長さを考えると、傘の位置を高くしたところでパラソルに当たるは必至。
規定にない動きをしたわけでも、武器を落としたわけでもないので、パラソルにぶつけたことは減点対象にはなりません。でも、選手の精神的によくない。
さて、計算上ギリギリではありますが、今日1日で予定の演武部門を全部こなせるはずでした。それが2種目(男女ルグ)を残して日没エンド。
なにに時間がかかってしまったかといえば、種目ごとに変わる審判の呼び出し。審判は先の種目が終わる前に通達(任命)・召集されるべきなのですが、終わってからの召集だったため、種目と種目の間の時間が通常より長くかかってしまいました。もう一点、種目終了後に点数と順位がアナウンスされます。ここでは新方式の新しい結果表が見慣れないフォームであったため、競技委員長による確認作業に時間が取られました。そのため、アナウンスされるまでが長い。こういう細々とした部分で時間が消費されていきました。
そして残った2種目は明日に持越しです。15時から試合部門開始の予定はそのままに、集合を早めて13時から演武部門の持越し2種目を行う、とのこと。13時からなんて暑くて死にそう…
今日は13時開始ということなので、午前はホテルでのんびり。そして昨日の予想通り、13時の会場は酷暑だった。スマホは体感温度36度以上を表示し、空気もむわーっとしています。日本であれば気象庁が熱中症警報を出すレベルです。こんな気温の中、運動するってどうなってるんだ。
昨日から持ち越された演武部門チーム演武(ルグ)はひと波乱。ルール上、選手の道着は「無地」でなければなりません。ルールブックによれば「選手は、標準である黒のプンチャック・シラット道着と10センチ幅の白帯を着用する。白帯は結んではならず、また、ゆるくてもいけない。付属品も認められない。
道着の左胸に選手の所属する協会のエンブレムを、右胸にPERSILATのエンブレムを貼付しなければならない。また、左腕に国旗を貼付することは許される。国名は背中に表示する。
」のが正しい。つまり、ここに定められた以外の装飾があれば、減点対象ということ。
なにがあったかといえば、ズボンに国名が入ってるチームと袖に国名が入ったチームが減点されなかったのです。審判が道着の不備を見落としたというよりも、減点対象として認識していなかった、というのが正直なところでしょう。SEAゲームズや世界大会であれば違ったのかもしれませんが、ABGは良くも悪くも「お祭り的な空気」が支配しており、見逃した・目こぼしした、とも言えます。まあ、これで納得いかないのは僅差で2位となったチーム。お祭り的空気が漂うとはいえ、OCAの大会で持ち帰るのが金か銀かでは全く違うのでしょう。ただし、金メダルを獲得したのは主催国。最終的に順位は変更されませんでした。抗議を取り下げたのか(正式なプロセスに乗せなかった)、抗議の受け取りを拒否されたのかは知りません…
そんな事件もありましたが、試合部門は予定どおり15時に開始されます。今日の予定は日没までに15試合。順調に進んだとして1時間4試合強が一般的なスケジュールです。え、3時間で15試合??計算合わないでしょ。4試合程度は足に持越しで再び酷暑の13時スタートか…というのはさらに甘かった。
なんと、最初の試合にかかった時間は1時間!! 機械トラブルが頻発し、オペレーターが試合場をかけずりまわり、選手は中断の度に日陰を求めてコーナーへ。東南アジアでは往々にしてぶっつけ本番でもうまくいく場合が多々ありますが、今回はそうは問屋が卸さなかったようです。実地テスト、大事。ぶっつけ本番であったために ・一部審判の採点がオペレーター画面に反映されない=スクリーンへも表示されない=諸々確認作業発生 ・取消作業の手順が多いこと この2点に時間が消費されました。この間、放置される選手はリズムを保つ、体力をキープする、暑さに耐えるのが大変だったと思います。
こうして最初の試合に1時間。その後の試合も平均して30分程度かかり、結局、半分以下の6試合を終えて日没エンドとなりました。標準的な試合時間では消化できないことが判明したため、明日以降は毎日、8時開始の午前の部と14時開始の午後の部で行う、つまりは2部制となりました。15時以降の日差しに合わせて調整してきた選手には酷なことです。9時過ぎから15時台までの試合を引き当てた場合、酷暑以外のなにものでもない。
8時開始のため、7時半にはロビー集合です。6時にホテルの窓から見た外は既に暑そう。8時から始めると昼くらいまでやるわけですから、どんどんと暑くなります。がんばって早起きするので、午前の部は7時開始10時終了とかにしてもらいたいものですが、そうもいかないのでしょうね…
ほぼ時間どおりに午前の部が始まり、試合会場は徐々にヒートアップしていきました。熱い試合が繰り広げられたのではなく、気温がぐんぐんと上がり「暑い」のです。
10時以降の試合から、選手の疲労が見て取れるようになりました。立ってるだけでも暑いのに、さらに動いているわけで、消耗しない方がおかしいのです。午前中はTKOが2件発生しました。テクニカルノックアウト、つまり対戦相手が反則によらず続行不能に陥ったということです。午後には反則負けも4件発生しています。実力が拮抗するような国際大会ではどちらもあまりみない勝利条件ですが、ABGでは数多く見ることができました。そして、すべてそのまま救急車案件になるという。「続行不能」という時点で医療班の出番なので、当然ですけれども。
どのような事案が発生したかと言えば…
・選手Aのサプアン(下での足払い)に対する、選手Bの反撃蹴りがAの背中を狙ったものの腕にも入り、選手Aが腕を負傷。BのTKO勝ち。 > 砂の上ではなくマットレスの上であれば、腕にまで蹴りが入るような体勢でサプワンが終わることはなかったと思います。
・スタミナ切れを起こしているように見えた選手A、注意事項を犯し減点された時点で気力が切れたのか、立ってた状態から後ろにばったりと倒れる。BのTKO勝ち。 > 受身も何もなく、気絶して後に人が倒れる場面を初めて目撃しました。倒れたのが砂の上でよかった…いや、砂の上で試合をしなければ気絶するような事態にはならなかったのか。
・選手Aが審判の停止合図後に選手Bに対して攻撃を加え、選手B倒れる。Aの反則負け。> 立ち上がらなくてもAの反則負けが明白なため、選手Bは続行する気を完全消失。責められるべきはAですが、審判席からではBが続行不能なほどの重傷には見えず。勝利が確定したため、試合を放棄したと言えなくもない。暑いので無理しない方に判断が働いたのでしょう。
などなど。
この「相手が反則負け確実だから、もう無理して起き上がるのはやめよう」な試合は、この日に限らず、複数ありました。暑いですからね…無理して続行するより、医師に「いや、ちょっと無理っす」って言った方がいいのは明白。
話は遡りますが、到着して驚いたのはホーチミン空港の入管エリアが「日系企業運営の工業団地」の宣伝広告に独占されていたこと。考えてみれば、研修生の国籍内訳は中国に次いでベトナムが2位です。しかも、日本政府が日本語普及に努め、日本語パートナーズなどが多数派遣されている国でもあります。そんなベトナムが開催国となっているABGですが、大会現場における日本の存在感は本当に薄いものでした。
まず、今大会のメインスポンサーはタイのスポーツ用品メーカー。あとはベトナム航空やネスレ系列の飲料メーカー、地元のテレビ局など。地方都市ダナンとはいえ、ロッテマートがあるような地域です。イオンはスポンサーになってもよかったのではないでしょうか。しかも驚いたことに、大会のITを支えていたのは韓国人スタッフでした。さらに、審判の宿泊するホテルの食堂で見かける各競技関係者は中国人多数。あとは韓国や中央アジア各国、イランも存在感がありました。
JOCがABGをマイナーゲームとして扱っているため、競技への参加選手が少なく(=日本チームの規模が小さい)、またそれに伴って派遣される審判等関係者が少ないのはわかります。でもハード・ソフト両面で相当、日本の存在感が薄い印象を受けました。奥ゆかしい国民性なのか、お金がないってこういうことなのか、国として老いてきているのか…まぁ、日は昇るだけが能ではありませんが、落日の祖国を感じました。
午前の部10試合、午後の部10試合、で昨日よりは少し早めに宿舎に戻れた一日でした。相変わらずの暑さのため疲労の色が濃い選手も多く、砂の上、酷暑の中でシラットを競技する意義がわかりません…そして人が疲れれば機械も疲れるもので、機械トラブルに巻き込まれた日でもありました。
大会を総括したアジア・シラット連盟の報告書にも「今後への課題・提案 1.大会前に採点システムを試運転すること a.審判が慣れない機械のため第1試合に1時間ほどかかった b.手元の機械に採点を入力したにも関わらずスクリーンに表示されなかったと主張する(claims)審判の事案がみられた」と書かれています。claimsと書かれると、なんか事実ではないのにそう言い張ってるみたいな印象を受けますが、英語的にどうなんでしょうね。ここで事案となってるのはcizmaなんですけどね。
初日のテスト時点で、採点がスクリーンに表示されるまでのタイムラグは何回か発生していました。それがこの日、運悪くシーソーゲームな僅差の試合で発生した、という話。そしてこのスクリーンにタイムラグの発生した審判がcizmaだった、と。おかげで自分以外の人からみれば、採点対象事項が発生していない時=なにも攻撃がない時に点数を入れたように見えていたようです。「ようです」というのは、審判は試合の採点中、他者からの影響を排除する(他の審判の採点を参考にしない)ため、スクリーンを見ないように指導されているので、自分の採点とスクリーン表示の間にタイムラグが発生しているとは知りようもないからです。試合後、「何も起きてないときに、なんで点数を入れているんだ」と聞かれて、タイムラグに気づいた次第。もちろん、誓って「何も起きてない時に採点」なんてしていません。
ここで初めて、インドネシアのyah udah...diam
aja...というのは、実は奥深くて強いものだったんだな、と知りました。神様は全てを知っているのだから、という強さ。与えられるものは全てが善、という信頼。見習いたいと思います。
ま、そんな凹むこともありましたが、笑えることもありました。昨日もあったのですが、今日もダンスショーが用意されていました。なんかこう、セクシーを目指して微妙としか言いようのないグループダンスにウキウキとカメラを向けているおじさんたちを見るのは、笑う以外に反応のしようがないw
気付けば明日の決勝で長く思えた大会も終わりです。いい1日になりますように。
本日はとうとう最終日、午前と午後にそれぞれ6試合の決勝が組まれています。でも、朝起きたら雨。採点につかう機械は雨でも大丈夫なんでしょうか。幸い、試合開始の頃には小雨となり、時間どおりの開始です。雨を吸って砂地は固くなってますが、晴天の酷暑よりはマシでしょう。午前の6試合は順調に実施されました。
昼を挟んで、午後。午前の曇天を取り戻すかのような暑さ。しかも強風が吹き始め、会場のビーチパラソルが無残なことに…
午後は本当に暑かった。特に14時台は過酷。マレーシア対イランの男子Eクラスはそれを象徴してました。実力からいえばマレーシアの圧勝が見込める対戦カードです。が、TKOの危機を乗り越えてのマレーシア勝利となりました。
暑い中、スタミナの配分を誤ったといえばそれまでではありますが。第1ラウンドでイランに対し大量得点を挙げたマレーシア選手、その後にスタミナ切れを起こします。スタミナ切れというより、はっきり言えば熱中症です。1ラウンド終わっての休憩タイム、コーナーで座ることを勧めるコーチに対し、「座ったらもう立てない」と立ったままでいることを選択する選手。あまり動いていない(動けてない)イラン選手の方が元気です。第2ラウンド、第3ラウンド、と思わず膝をついたマレーシア選手はカウントを取られています。9カウントの後、試合続行の態度を見せなければ、そのままTKO負けになる場面です。このマレーシア選手がベテランで、対戦相手がイランで、大会がアジアビーチゲームだからこそ、TKOという判断には至らなかった。レフェリーの温情が働いたとも言えるでしょう。普通に考えれば、あそこまでボロボロだったらカウントを最後まで取って勝敗を決め、試合を終わらせた方が選手にとっては安全です。それをしなかった、させなかったのは、このマレーシア選手の過去の成績が一流で、イランとの力量が大きく開いていることを全員が知っていたから。いい判断なのかどうか、採点審判としてはコメントのしようがありません。自分が競技委員長、あるいはレフェリーだったらTKOにして試合を止めていたか…どうだろう。イランには気の毒ですが、マレーシアの選手もチームもそのような負けを認めないでしょう。炎上案件を作り出し、かつ引き受ける覚悟はちょっと、ない。とにかくこの試合で、人が気合を入れるために「アッラーフアクバル」を雄叫び、暑さとスタミナ切れで思わず膝をつくという光景を初めて見ました。ああいった「アッラーフアクバル」は滅多に遭遇するものじゃない…いや、あまり遭遇したくない。
なんとか勝利したマレーシア選手、退場後は自力で歩けなくなってました。次の試合はマレーシア対ベトナム。どちらもベテランのいい選手なのに、マレーシア選手はベトナム選手に大分得点差を開けられます。普段であれば、ここまで差がつく対戦カードではありません。後で聞けばやはり「暑くて辛かった」とのこと。
もう本当、選手をこんなにボロボロにしてまでビーチでシラットをやって、どうするんだろう。
試合が全て終了し、昨夜遅くから明け方にかけて数人の審判が帰国しました。運営側が用意してくれる空港行きの車は、ホテルを離陸3時間前に出発します。夕方便のcizmaは午前中、暇。大会期間中、全く出歩けなかったのを取り戻すべく、タクシーをチャーターして4時間ほど市内散策です。
ただ、行きたい場所が近すぎ、当初チャーターには難色を示されました。チャーターは目的地が30キロから、ということだったのですが、最も遠い目的地が10キロほど。結局、30キロ(=1時間半)のチャーター料金(340K)に1時間当たりの貸切料金(55K)を追加し、4時間半のチャーターで話をまとめました。目的地に着いてから都度毎にタクシーを捕まえるより割高だとは思います。でも、土地勘もなく言葉もわからない土地で、しかも4時間という制約があるなか、いちいちタクシーを探す面倒が回避できるなら、許容範囲。
そんなタクシーに乗ってどこに向かったかと言えば…
半島からはダナンの海岸と街がきれいに見えました。寺院に来て改めて、自分が漢字文化圏の人間なんだなあ、と実感したり。町中ではあまり漢字を見ることはありませんが、寺院にはそこここに漢字の装飾があります。もう一つ、寺院を見て感じたのは、沖縄っぽさ。沖縄、行ったことないんですけど、なんとなく寺院の色合いとか狛犬の感じがメディアでみる沖縄のイメージと繋がりました。熱帯の中華冊封エリアという共通項なんですかね。
寺院の後はビーチゲームズの会場に戻り、ボビナムを観戦しました。ルールを知らないスポーツというのはコメントしづらい…
ボビナムの次は、市内の主要観光名所に向かいます。
ドリアンと市場を満喫しても契約の4時間半を消化するには、まだ少し時間があります。ホテルに戻る前にダナン スーベニアーズ&カフェに行ってみることにしました。30分後に迎えに来てもらうことにして、中へ。置いてあるものはなかなか趣味がよく、日本語表記のあるお土産もありました。まあ、その分、市場で買うものよりはお高め。
30分後、タクシーに乗ろうと外に出ると…あれ、いない。タクシーは居るけど、これじゃない。どうしたものか、と思ったところ、携帯が鳴りました。お店の前に停まってるタクシーの運転手さんがcizmaにかけてきています。電話に出たことを確認した後、片言英語、というよりも単語の羅列でしたが、彼が言うには「先ほどまでのタクシーは用事ができた。俺は友達で、彼に頼まれた。ホテルには私が送る」とのこと。え、チャーターだと油断して、先ほどまでのタクシーに市場で買ったお土産品がおきっぱですよ。それはどうしても取り戻さなければ…ってこの運転手さん、英語通じない(涙)
土産店の中に戻り、こちらも微妙に英語が通じない店員さんに通訳してもらい(最終的にはほとんど店員総出状態でした)、なんとか・前のタクシーに物が置きっぱなしなこと・それをホテルに届けてほしいことが伝わりました。運転手さんが連絡を取った結果、13時にホテルに届けに来る、と。ホテルを出る予定時間には間に合いますから、まあいいか。
それにしても、チャーターされてるのになぜに「用事」ができるのか。30分の空き時間にUBERか何かで短時間のお客さんでも取っちゃったんでしょうか。それが30分で終わらなかった、とか・・・まあ、ホテルに戻る代理は手配してくれたし、約束通り13時に荷物を持ってきたし、良しとします。
ダナンからホーチミンへはベトナム航空を利用です。ナショナルフラッグだから大丈夫だろう、と思ってたら見事に遅延しました。しかも、遅延表示も遅延アナウンスもなし・・・ホーチミンでの乗継時間がギリギリというほどではなかったからまだいいものの、国内線から国際線への乗継&荷物の引き取り&チェックインをしなければいけないと思うと、気が急きます。さらにホーチミン空港での乗客の動線がおかしなことになっており、待合室から搭乗口への廊下と、降りた客が出口に向かうルートが共有されています。共有されていても問題はないけれど、搭乗するお客さんが通る間、出口に向かう客は通行止め。遅延して焦っている一団はイライラ…そんなこんなで出口を出たのは当初予定より1時間近く遅れました。
こうしてホーチミン空港での滞在時間が短くなり、せっかく友人と会う約束だったのに慌ただしくなってしまい、残念です。
それにしても、行きも帰りもほぼ満席のJALには驚きました。ジャカルタ往復のANAなんて空いてたのに。ベトナム、いろんな意味でアツいんですね。
朝、羽田に到着。いったん帰宅してから出社です。
審判として振り返れば、機械トラブルが一番に思い出されます。これをぐっと飲み込んで、自分がどれくらい&どのように使われたかを見返せば、まあ、平均的かと。レフェリーを務める機会も与えられましたし、全体を通して対戦カードの偏りもなかったので、機械トラブルの結果としての横槍もなかったのでしょう。審判の白い服が象徴する「公正」を実行していくことで、身を示すしかありません。誰が見てなくても、神様はご存知。
そしてシラット関係者として大会を考えると、「あの暑さでスポーツって頭オカシイ」という結論にならざるを得ない。ビーチでスポーツすることを否定はしません。でもそれはあくまで「楽しみながら」のんびりとできる場合に限ると思います。メダルを賭け真剣勝負としてスポーツをする・させると、選手も周囲もつい無理をしてしまう。2008年のバリビーチゲームズで砂に足を取られて膝を壊した選手がいます。今大会ではそこまでの大けがはありませんでしたが、熱中症と思われる、あるいはそれに起因すると思われる救急車案件が多すぎました。試合中に膝をつく選手なんて、見たことないです。
次回ビーチゲームは4年後にインドで開催されると聞きました。もし、シラットをまたビーチでやるなら、ビーチでやるなりの選手を守る仕組みが必要です。ラウンド時間を短くするとか、点差が何点以上開いたら終わりにするとか…室内と全く同じルールでやるのは、無理。