- ブルネイ良いとこ一度は行こう -

 2019年1月5日から14日まで、初ブルネイ。クアラルンプールで乗り継ぎのため、5日到着とは言いつつも、ほぼ日付が変わる頃。14日にブルネイを出たものの、日本到着は15日の夜…そんな新年早々の10日間。

 第1章 ブルネイでシラット
 第2章 ブルネイ市内を回る
 第3章 ブルネイで食べる
 おまけ マレーシアで乗り継ぎ

第1章:ブルネイでシラット

 シラット界隈のいわゆるマレー系4か国のうち、唯一未踏だったブルネイ。謎の国ブルネイ。国王が男前な国ブルネイ。一度は行ってみたいと思いつつ、なかなか機会が訪れませんでした。でも、ブルネイの審判仲間が紹介してくれたシラットイベントにかこつけて、海路郎さんと新年早々の海外旅行です。

紹介されたシラットイベント
キャンプの案内

 *上記お知らせポスターは当初予定に基づいたもので、実際に行われたものとは若干の差異があります。

 シラット界隈の有名人マウル・モルニー氏のグループSSBD(Silat Suffian Bela Diri) が主催の合宿です。SSBDのメンバーのみを対象にしているわけではなくオープンなものです。ただ実際には、欧米のSSBDの支部からの参加者が大多数を占めていたようです。
 参加者はオーストラリア、オーストリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、ギリシア、イギリス、フィリピン、アメリカ + 日本(cizma)  + ブルネイ の15か国からの60人ほど。大所帯だったのはオーストラリアとアメリカです。基本的に皆さん、過去にマウル氏セミナーに参加経験がある、もしくは現地におけるSSBDの練習グループのメンバーといった感じでした。

 練習会場は宿泊先に隣接するボーイスカウトビル最上階のスポーツフロア(バドミントンコートが5面ある広さ)と、国立スポーツ施設集合エリアのバスケット用アリーナを午前・午後で交互に利用しました。バスケットアリーナはブルネイでシラットの大会を開催する時に会場として使用されることが多いそうで、ブルネイ・シラット協会(PERSIB) の事務所も近いようでした。
 つまり、PERSIBは競技スポーツとしてのシラットだけではなく、伝統流派からSSBDのような”実戦”を謳うシラットまで幅広く受け入れているということ。これを知れただけでも、ブルネイに来た甲斐がありました。

ボーイスカウトビル最上階
午前の練習場

バスケットアリーナ
午後の練習場

 今回の合宿では1)SSBD 2)Silat Jurusan Cempaka 12 3)Silat Brunei Betawi 3 4)Silat Cakak Asli Brunei を体験しました。
 1)は言うまでもなく主催のマウル氏のもの。教え方や伝え方、また、参加者の反応が大変興味深いものでした。
 2)はブルネイ王宮につながる、基本的に女性向けの技術・・・を初心者である参加者に対してJurus(舞踊のような一連の動作群)として紹介してくれました。出典を明らかにすることで、人前で披露してもよい、との許可をいただけたのが嬉しい。
 3)は…ブルネイなのになぜかブタウィ(ジャカルタっ子)が名称に入っている身体強化の技術。素手でヤシの実割るよ、鉄棒蹴っても痛くない!という人たち。基礎の体を作る練習だけで汗だくになりました。cizmaはヤシの実割り、ブロック割には挑戦していません。
 4)は王族を迎えての大会が40年前から実施されている流派で、優雅な動作の中に攻撃と防御を組み込んでいました。競技を行う際の基本ルールを教えてもらいましたが、採点基準がわからない(苦笑)

 これに加え、1)ブルネイ代表候補競技シラット練習 2)在ブルネイインドネシア人労働者のPSHT練習 3)ブルネイ伝統流派Pancir Muda Gayong Muda にもお邪魔することができました。
 1)はいわゆる競技シラットの練習。バックグラウンドは諸々(所属伝統流派など)ですが、「ブルネイ」の名の下に一丸となって練習をしています。会場はスポーツ練習施設が集まる敷地の武道棟の一角。探索はしていませんが、4面のマットレスがあったように思えます。シラット、空手、テコンドーとあと一つ…なんだったかな、が建物を共有しています。お邪魔した時には空手が練習していました。ちなみにエアコンはありません。扇風機はある。
 聞くところによれば、一時期、王族がこの建物に空手の練習に来るからエアコンを設置する、という話が持ち上がったのに、この王族が結局、空手を始めなかったので設置されなかったとか。あっというまに汗だくになる環境で、ちょっと大変。
 2)は合宿プログラムの一環です。PERSIB副会長の自宅庭がPSHTの練習場所として提供されていました。海外に出稼ぎに来ている彼らにとって、同胞と集える場というだけではなく、練習もできるというのは、大きな精神的支えになっているのではないかと思いました。
 3)はご招待を受けてのお出かけです。合宿プログラムのうち、Betawi3のヤシの実割り実践を抜け出して(許可は得てます)の訪問でした。中央から60キロほど離れた、イメージとしては埼玉のようなエリアで子供たちが練習する様子を見学させていただきました。全員が大人になるまで続けるかどうかはわかりませんが、次世代がシラットの触れている光景はいいものです。しかも一人、ものすごい楽しそうにやってる子がいて、眼福とでもいいますか。

競技シラット練習
競技シラット

PSHT練習
PSHT

子供たちの練習
子どもの練習

 面白かったのは、ブルネイ側によるPSHT練習の説明です。PSHTは天候に関わらず、夜間の屋外で一晩中、明け方まで練習します。「ブルネイではそういうことはない。これは彼ら(インドネシア)のやり方。どうしてそうなのかはわからない。」と、見学者である合宿参加者に対して英語で説明していました。cizmaには「(古い時代の)シラット練習は屋外&夜間」というイメージがありますが、ブルネイは違うんでしょうねぇ。違いが感じられて面白かったです。

 合宿のことはブルネイの新聞に取り上げられました。RTB(ブルネイのNHK)にも出てたそうです。
  Showcasing skills, culture of Brunei’s silat to the world   
  Silat training camp attracts international participants 

第2章:ブルネイ市内を廻る

 合宿プログラムの合間に審判仲間が市内を見せてくれました。合宿プログラムの一つにジャングルトレッキング、というのがあったのですが、そちらへは参加せずに市内観光です。トレッキング、するつもりで日本を出発したんですけど・・・審判仲間が「ジャングルでシラット練習するわけじゃないし、案内してあげるから市内に残りなよ」と。まあ確かに、なにも海路郎さんが苦節ン年かけて抜け出した大自然に、わざわざレクリエーションをしに戻る必要はないわけで。cizmaもアウトドア派じゃないですしね。
 以下、若干順不同。

橋のタワー
橋

 到着の飛行機から見えた謎タワーがこれ。出来て1年(だったかな?)の橋。この橋ができる前はものすごい迂回をしないといけなかったそうです。驚くのは橋の上で停車していいこと。東京で言えばレインボーブリッジのような場所です。レインボーブリッジは「ここでは停車してはいけません」と繰り返し警告が出ていますが、こちらの橋は自由。おかげでこんな写真が撮れます。

広大な駐車場
駐車場

 橋の近くには広大な駐車場がありました。でもこれ、大黒ふ頭のような観光客向け駐車場ではありません。実はこの橋は水上集落の近くにあります。ブルネイは公共交通機関が未発達で車がないとどうにもなりません。ガソリンも安いため、車が家電のように一家で複数台所持しています。これは、住居が水上集落の人でも同じこと。しかし、水上集落には車を停めることができません。そんな彼らのための駐車場なのです。ちなみに映画ヤスミンでは高校生が自家用車通学してますが、免許を取れるのは18歳…おお、あの映画では、みんな法令違反!(チガウ)

 ブルネイには王室が受け取った贈答品展示博物館があります。あと500年もすれば正倉院になれるのでしょうか・・・?贈答品を見ることができるだけではなく、王室の歴史も学べます。観光ルートには必ず入っているようで、外国人観光客が沢山いました。中の写真が撮れないのが残念。

お土産品売り場
土産モノ

 お土産品売り場周辺は撮影可能。ブルネイは一村一品(1K1P) をしているようで、お土産もそんな感じでした。ここだけではなく行く先々の観光地で遭遇するのは英語・中国語・ハングル語の表記。それだけ彼らが来ているということであり、また、日本人が来ていない、ということでもあるのでしょう。

ドームに99の美名
99

 モスクは観光客に開放されている時間帯に制限があります。ベールを被る、露出を隠すといったリクエストはありますが、どこのモスクも基本的に男女問わず見学可能なようです。新しくてきれいなモスクが多かったなあ。モスクは基本的に「国が建てる」ものだそうで、公務員はモスク建設基金へ、毎月のお給料から2ドルを寄付できる仕組みになっているとのこと。天引きですが、もちろん、同意しなければ引かれません。

飛行機から見えたもう一つの建造物
メイン

中に入ったら携帯禁止
携帯NG

第3章:ブルネイで食べる

 交通機関の問題があるので「見て回る」観光には、あまり向かないブルネイです。それをおいてもブルネイは訪問先としておススメ。主題に据えるべきは「食」!特にムスリムにとっては、わずらわしさがなくて、本当に楽。豚肉(及び由来)に気を付けなければならないわずらわしさからの解放だけならば、マレーシア、インドネシア、シンガポールでも同じことです。でも、ブルネイはマレーシア・インドネシアにはない「どこでもきれい」という清潔感があり、シンガポールよりマレーよりの食文化とムスリム率の高さがあります。ここにしかないものも多く、ブルネイは食を求めて行く国として、cizmaの中で確固たる地位を築きましたw

ambuyat
ambuyat

 ここでしか食べられないもの筆頭、ambuyat。サゴヤシ粥?とでもいうのか。サゴヤシ自体に味はなく、ソースやおかずを絡めて食べるので、味の決め手はソースの方かもしれません。ともあれ、美味しかったのです。ブルネイといえばambuyatとされる代表食ですが、ソウルフードというわけではないようで、「私は食べられない」と何人かの審判仲間が言っていたのが意外。

ドリアン
ドリアン

 そしてドリアン。よく見る白っぽいドリアンだけではなく、DurianKuningという種類がありました。時期によっては、もっといろいろとドリアンがあるそうで・・・垂涎。オレンジ色のドリアンはケーキみたいでした。また食べたい。

有名店らしい
おやつ

 創業者が中華系らしく店名はこんなですが、店員はほぼすべてインド亜大陸系。Kachang Kahwinという商品が有名らしく、これが激ウマ。カヤジャム、バター(マーガリン?)、ピーナッツなどを丸いバンズで挟んだスナックです。バンズが無くなり次第終了で、お店に着いた15時過ぎには滑り込みでした。(cizmaたちのオーダーで終わった) お店は喧噪に包まれているため、ゆっくりお茶をしたい向きにはおススメできませんが、ブルネイに行くことがあったら是非お試しを!

どのお店もOK
ナイトマーケット

 ナイトマーケットと呼ばれていますが、昼間も開いてる市場。果物、野菜から串揚げ、焼き鳥、ケバブまで売ってます。イートイン(?) も持ち帰りも可能です。お値段は国によって安く設定することが定められているようで、高いお弁当でも2ドルくらいだったかな?猫はいますが、清潔感はシンガポールのホーカーズより上かも。

非公認屋台
屋台

 ナイトマーケットが公証で激安ながらも場所代を必要とする一方、このような非公認屋台もあります。人が運動をしに集まる公園などにあるようです。運動したらお腹が空きますからね!・・・あまり運動の意味がない感じにはなりますが。
 ブルネイではその場で料理する屋台のことを「live cook」というそうです。live cookだと待たされるけど(オーダーを受けてから調理するため)、温かくおいしいとのこと。メニューを見ると、ここがマレーシア+インドネシア+シンガポールのガラガラポン的な食文化なんだなあ、と思いました。マギーとロティ・ジョンからマレーシアを、インドミーやバッソからインドネシアを、練りもの率の高さからシンガポールを、それぞれ連想。

屋台メシ
メニュー

おまけ:マレーシアで乗り継ぎ

 今回の渡航はマレーシア航空を使ってのクアラルンプール経由でした。ブルネイのナショナルフラッグ、ロイヤル・ブルネイ航空はまだ日本からの直行便を飛ばしていないのです…
 行きは4時間、帰りは一晩の待ち時間。エア・アジアではない方の空港、KLIAの利用は久しぶり。なんかあっちこっちが工事中で、フロアマップに記載のあるお店が開いてなかったりと、ちょっと不便です。一晩の待ち時間となった帰りは、さすがに外に出て、KLIA2の空港ホテルに一泊しました。入管の列がものすごいことになっていたのはなんでなんでしょう。顔確認、指紋登録をするにしても、一人にかかる時間が非常に長く、列の進みがものすごく遅い。しかも、入るのを管理するだけではなく、出国する方でも同じプロセスなのには驚きました。帰国時、入管に30分は並びました。ギリギリに入ろうとしなくて本当によかったです。
 そういえば、ブルネイの入管ではブルネイ・ASEAN・その他の区分になっていました。ASEAN各国パスポートだと、ブルネイの入管では別ルートなんですね。 

おわりに

 ブルネイからの直行便がない、と前述しましたが、実は3月から飛びます。週3便、成田発着ですが、直行便なら経由便よりラクチン。これを機にブルネイを日本人観光客が、そして、ブルネイの友人たちが日本を訪れることを期待します。ブルネイ良いとこ一度は行こう!禁酒禁煙したい人も是非どうぞ!(原則として販売していないため必然的に禁酒禁煙となります)