- 韓国一泊三日 -

 2016年10月15日に韓国のピョンテク(平沢)で開催された第1回韓国プンチャック・シラット国際オープンにに参加してきました。東アジア地域で初めて開催される競技プンチャック・シラットの大会です。ただし単独開催ではなく、第11回国際格闘技選手権の一部門として実施されました。

第1回韓国プンチャック・シラット国際オープン概要
 (1)大会について
 (2)大会参加国
 (3)大会日程
 (4)競技種目
 (5)競技結果

大会こぼれ話・裏話
 10月14日(木):LCCでソウルへ
 10月15日(金):全20試合
 10月16日(土):帰国、そしてインドネシアフェス

第1回韓国プンチャック・シラット国際オープン in ピョンテク(15 Oct. 2016)概要

第1回韓国プンチャック・シラット国際オープン in ピョンテクについて

 東アジア地域で初めて開催されるプンチャック・シラットの国際競技大会です。ただし単独開催ではなく、第11回国際格闘技選手権の一部門として実施されました。プンチャック・シラットの他にはムエタイ、クラブマガ、(韓国の)合気道、テコンドー、スポーツチャンバラ、柔術などが行われていたようです。子供の参加者が多かったですね。

体育館内に8面のマットレスを引き、1面につき1格闘競技を実施
トロフィー

大会参加国 (全8ヶ国、5チーム)

 韓国(9)、シンガポール(6)、ウズベキスタン(3)、タイ(5)、インドネシア(5)、フィリピン、日本、米国、インド
 
 *公式記録により全8ヶ国。ただし、フィリピンと日本は審判派遣のみ、米国とインドは参加表明したものの、実際には不参加。また、インドネシアは本国からの派遣チームではなく、在韓インドネシア人の伝統流派PSHTのグループ。公式記録と上記記載国数(9)が合ってないのは、日本がカウントされていないため。フィリピンは当初、選手参加の予定だったため、参加国数としてカウントされているものと思われる。
 **カッコ内は参加選手数。全28名、予定試合数20試合。

大会日程

 開催案内では10月14~16日の3日間が大会期間。14日は準備、15日は本番、16日はリフレッシュメント(観光)という内容。

日付 イベント
14(金) 選手登録・組み合わせ抽選
15(土) 準決勝&決勝
表彰式
16(日) リフレッシュメント(観光)

競技種目

 開催案内によれば、成人男子試合部門7クラス、成人女子試合部門1クラス、成人男子演武部門トゥンガル(ソロ)、青年男子試合部門1クラスが実施される予定となっていました。
 しかし、実際にはJクラスとトゥンガルはエントリーがなくキャンセルとなり、また、青年男子(14~17歳)は「プレ・ジュニア」(10~12歳)の選手が登録していました。

 
 1.男子試合部門(Tanding)
  Cクラス - 55kg以上60kg未満
  Dクラス - 60kg以上65kg未満
  Eクラス - 65kg以上70kg未満
  Fクラス - 70kg以上75kg未満
  Gクラス - 75kg以上80kg未満
  Hクラス - 80kg以上85kg未満
  Iクラス - 85kg以上90kg未満
  Jクラス - 90kg以上95kg未満
  
 
 2.女子試合部門(Tanding)
  Cクラス - 55kg以上60kg未満
 
 3.男子演武部門(Seni)
  Tunggal
 
 
 4.青年男子試合部門(Tanding)
  >プレ・ジュニア男子試合部門に変更
  Lクラス - 83kg以上87kg未満
  Cクラス - 30kg以上32kg未満

競技結果

 国際大会とはいえ、韓国の審判養成実地訓練も兼ねていた大会です。そのため、何試合か謎な結果になるというオチがつきました。レフェリーの捌き方、審判の採点の仕方によって試合が変わるというのは本当です。結果に関してはきちんと記録を取っていませんが、公式記録によれば金メダルラリーはシンガポール4、タイ3、韓国1、インドネシア1、という結果だったようです。

大会こぼれ話・裏話

10月14日(金):LCCでソウルへ

 急遽決めた韓国行。距離ももちろんですが、LCCが飛んでいることも大きな決め手となりました。行きは成田からチェジュ航空、帰りは羽田着のピーチ航空です。
 成田のLCC専用ターミナルT3は二回目ですが、国際エリアは初めて。国内エリアと変わらずの倉庫臭さ。それでも、一応免税店があったり、なによりも驚いたのは礼拝室があったことです。チェックインカウンターのエリアにあるのは国内線を利用した時に知ってましたし、今回も利用しました。が、まさか入管を過ぎた出発エリアにも用意されているとは思いませんでした。外に比べて広さは半分ほどでしたけれども。

特定の宗教のための部屋ではないので
Musholla/Surauとは表示しないのでしょう
礼拝室

 到着先との時差なし、飛行時間は2時間半ほど。ちょっとした国内旅行と同じ感覚です。日本からだと韓国くらいにしか国内感覚で出かけられませんが、東南アジアやヨーロッパではこんな感じで出かけられる”外国”がいっぱいあるんですよね。LCCの需要も納得です。
 そして仁川は広かった…きれいで機能的なのはいいんです。LCCを利用したから端っこに降ろされたというのも理解できます。でも、ハブ空港の広さは適度な方がいいなあ、と思いました。タイのスワンナプームでも感じましたが、入管やゲートまでへとへとになるまで歩かないといけないような広さは要りません。
 ターミナルとターミナルを結ぶトラムの待ち時間も含め、空港建物に到着してから入管まで15分かかった。それも結構がんばって歩いて。

果てしなく続く通路
仁川

 簡単にwifiに繋がったのはありがたい。まあ、日本以外では割と普通だけど。wifiで繋がりさえすればアプリで電話ができる、いい時代です。やっと会えた送迎担当と意思疎通できないのは誤算だったものの(英語が全くと言っていいほどNGだった)、1時間のドライブで本日の宿に到着しました。
 宿の場所は港湾地区、なんもない。あったところで字が読めないので、なんだかわからん。お腹空いたなぁ…送迎担当に身振り手振りで訴えたところ、サンドイッチが支給されました。肉は入ってないように見えるけど、どうなんだろうこれ。言葉が通じないので確認が難しい…でも、ムスリムのシンガポールやウズベキスタンにも同じものを渡しているようだし、配慮されていると思うしかないかな。(結局、ベジバーガーでした)

10月15日(土):全20試合

 てっきり会場の近くに宿が用意されたのかと思っていたら、そんなことはなかった・・・大会はピョンテク市内で実施されるようで、港湾地区のホテルで送迎を待ちます。聞くところではちょうど紅葉観光のハイシーズンに入っているため観光バスの繁茂期にあたり、大会事務局が送迎バスを手配できなかったとのこと。そのため、韓国のシラット関係者がマイカーで手分けして送迎している状況のようです。ロビーに居ても大陸(半島だけど)の冷え込みが感じられる中、1時間ほど経ったでしょうか。事前発表のスケジュール通りに開始するのはもう無理です。
 関係者は地元出身ではなく、慣れない道に迷いながら(ナビの指示通りに走って工事現場に入り込んだw)、会場に着いたのは予定より1時間遅れでした。

第11回国際格闘競技選手権の中での開催
会場

 予定表によれば、全20試合です。元々は国内大会、そして以前、韓国で実施された審判講習の実技演習を兼ねる予定だった大会です。それが何がどうなったのか、急きょ、「審判講習の実技演習」の部分はそのままに国際大会となっています。そのため、審判、時計係、記録係など全員がシラット初めてさん。かろうじて大会全体を監督する競技委員長は、シンガポールから来ている人でした。
 最近でこそ最年少審判ではなくなってきたものの、どの現場でも経験値的に「最年少」に近い状態が当たり前だったcizmaにとって、その場における「先輩」ポジションというのは驚きです。 新鮮でもあり、同時にプレッシャーでもあります。この場にいる韓国人審判たちが(ある意味)初めて見る「実際の審判」になるわけです。まだまだひよっこの部類だと自覚してますが、そう甘えたことは言っていられません。「そうか、審判とはあのようにするものなんだ」と自分が先輩たちの試合に向けていた視線が、今度は自分に向けられる一日になりそうです。

 途中で全体開会式のための中断が予定されています。全体の閉会式もあるので、終了時間も延長できません。マニュアル採点のため、採点を計算する時間も必要で、一試合20分はかかるでしょう。既に開始時間が予定より1時間押しています。終わるのかな…結局、1ラウンド2分のところを1分半に、休憩1分のところを30秒に、レフェリー・審判の入れ替えは2試合に1回という時間短縮のための措置が取られました。

 スケジュールとして張り出された全20試合のうち、実際に行われたのは17試合。1試合はフィリピン対アメリカ、これは両選手ともに不参加のため中止。もう1試合はインドネシア対ウズベキスタン、ウズベキスタンが前の試合で怪我をしたのか辞退。そして、唯一のジュニア試合は韓国勢同士の予定でしたが、片方が辞退(不参加?)のため、試合をせずに金メダルという結果になりました。
 7試合でレフェリーを務めましたが、良例とならねば、と思うと緊張します。それでも、本気のメダルがかかる国際大会(SEAや世界大会など)のような殺気だった雰囲気がないこと、会場全体が注視しているわけではないこと、は幸いでした。それなりに緊張はしたものの、取り返しのつかないほどの(=後々まで悶々と思い出すような)ミスを犯すことなく、「これは講習の一環だから各種動作を丁寧に」と周りを見る余裕も少しはもちながら、任務を果たせたと思います。そして、完全初心者の審判を目にし、なんだかんだと自分が経験値を積んでいることに気付くことができました。少々(?)のミスはありましたが、初めて試合を見る韓国人審判たちにそれなりの見本は見せられたかな。

試合の図
試合

 今回の渡航は審判経験値を上げるためではなく、東アジアでの初国際大会で日本の不在を避けることと、韓国シラット事情の視察が目的でした。試合を見ることで、選手のバックグラウンドや練習を推し測れます。また、韓国で「大会が開催できるほど」に審判が養成されている、という事実は見逃せません。どのような審判が育っているのか、興味がありました。
 ある程度予想通りですが、選手はまだまだルールを教えられただけのテコンドーです。それでも、中心となっている人物は競技シラットだけではなく、伝統流派を身につけようとしています。そう遠くない将来、シラットらしい動きをする選手を大会に送り込むことができるでしょう。
 審判に関して言えば、真面目に講習を受けて、今大会に臨んでいることが感じられました。とはいえ、シラットを知らない、大会を見たことがないまま本番に放り込まれた感は否めません。まあ、これは結局のところは慣れで、シラット経験がなくとも目を養えば採点はできますし、レフェリーもできるでしょう。 ただ、全員が初心者の判に採点・レフェリーに裁かれる選手は気の毒でした。通常なら、レフェリーが若葉マークの場合、5人の採点審判をベテランで固めてサポートします。採点審判が若葉マークであれば、それは5人のうち多くても2人までです。少なくとも、私はそのように配置されてきました。

 若葉マークであったために見受けられた課題の一つは、選手の安全確保の難しさです。攻撃してはいけない部分(頭部や関節)に「つい」入ってしまう攻撃というのはあります。ただ、それが意図的なものか、無意識か、反復されるものか、などレフェリーは見極めなければなりません。意図的であれば即座に、また、無意識でも反復されるようであれば当然、注意警告を行い、危険行為を行う選手に自覚と自制を促します。選手の安全を守るためのルールであり、レフェリーの仕事の一つです。
 これを頭ではわかっていても、経験やルール理解に自信がないままレフェリーを務めると、試合の流れを止めることに臆病になります。自分にも経験があることですし、大会規模(その場でかかるプレッシャー)によっては、今でも怖い。
 まあなにがあったかと言えば、ふと見ると選手がフラフラと立っていて、それでも試合が続こうとしている。あのフラつき方は脳震盪じゃないのかなあ、続けるのはヤバいのでは?と思いました。観客からはフラついている選手に「立ってるんじゃない!倒れてしまえ!!」とヤジが飛んでいます。その声に押されるように倒れる選手。どうも聞くところでは頭部に蹴りが入り、それを若葉マークレフェリーが流しために繰り返され、とうとう3発目がダメ押しとなった、と。病院での診察の結果、顎が外れて折れてたそうです。脳震盪を起こしてもいたのでしょうが、フラフラしていた時には顎も外れてたんでしょう。そりゃ、言われなくても倒れるわ。
 怪我した選手も気の毒ですし、若葉マークレフェリーも気の毒です。しばらくトラウマじゃないかしら。

 さて、時間内に終わるか危ぶまれた大会ですが、3試合が実際には行われなかったことで、予想より早く16時台には終了しました。送迎がないので自力で空港に行かなければなりません。案内されたのは、空港へ行く高速バス。うーん…仁川空港で時間を潰すのもいいけれど、少し時間がありすぎる&つまらん。幸い、友人が観戦に来ていたので、電車旅のエスコートをお願いしました。 

電車の旅
電車

 いくつか電車を乗り継ぎ、いい感じの時間に空港に着くことができました。帰国もLCC(ピーチ航空)を利用、到着時間は日付を回った明日16日です。 

10月16日(日):帰国、そしてインドネシアフェス

 日付変わって16日に羽田に到着しました。24時間の空港、24時間じゃない公共交通機関…海路郎さんのお迎えがなければ帰れません。なんとかならないのかなあ。

 帰宅してそれなりに睡眠し、昼には代々木公園で開催されているインドネシアフェスに向かいます。午後に演武することになっていたからですが、まあ我ながら呆れるハードスケジュール。案の定、翌日から風邪でぶっ倒れ、1週間ほど使い物になりませんでした。これからは物理的に可能というだけ判断せず、自分の体力も考えたスケジュールを組みたいと思います。