- 週末韓国、近くて遠い -

 2019年6月1日&2日に韓国のコンジュ(公州)で開催された第2回韓国プンチャック・シラット大会に参加してきました。第1回は2019年2月に国内大会として開催されています。第2回も基本的に国内大会ですが、主催者が招待状を送ったいくつかの国は参加可能な、限定国際大会です。

第2回韓国プンチャック・シラット大会概要
 (1)大会について
 (2)大会参加国
 (3)大会日程
 (4)競技種目
 (5)競技結果

大会こぼれ話・裏話
 5月31日(金):突然の韓国行
 6月1日(土):VIPゲーム
 6月2日(日):2日目最終日
 6月3日(月):帰国

第2回韓国プンチャック・シラット大会 in コンジュ(1&2 Jun. 2019)概要

第2回韓国プンチャック・シラット大会 in コンジュについて

 2016年に初めて大会を開催してから3年、韓国は着実に大会開催実績を積み重ねてきています。今大会は2回目の国内選手権として企画されましたが、9月のワールド・マーシャル・アーツ・マスターシップのテストケースと位置付けられ、いくつかの国際チームが招待されました。
 元は試合部門(タンディング)のみ実施される予定でしたが、採点システムの”テスト”のため演武部門がパフォーマンスとして行われました。

Kongju National Universityの体育施設が会場
会場

大会参加国 (全7ヶ国)

 韓国、シンガポール、ウズベキスタン、インドネシア、マレーシア、中国、日本
 
 *公式記録により全7ヶ国。ただし、日本は審判のみ、ウズベキスタンとインドネシアは参加キャンセル。断食月中&断食明け大祭が近い(6月4日もしくは5日)という大会日程に影響されたものと思われる。また、マレーシアは韓国チームのマレーシア人コーチ。
 **シンガポールは演武部門(男女トゥンガル、女子ガンダ)も派遣、予定試合数45試合。

大会日程

 開催案内では6月1~2日の2日間が大会期間。組み合わせ抽選は機械により前日(5月31日)に行われた。

日付 イベント
31(金) 審判講習、組み合わせ抽選
1(土) 初日&開会式
2(日) 決勝&表彰式

競技種目

 演武部門はシンガポールが派遣した男子トゥンガル、女子トゥンガル、女子ガンダが行われた。
 試合部門はプレジュニア未満、プレジュニア、ジュニア、青年の4年齢カテゴリーが行われた。ただし、体重別エントリーで対戦相手がいないクラスもあり、許容できる範囲での調整が実施された。(例:プレジュニアAクラスとBクラスの選手が対戦する)

競技結果

 9月のワールド・マーシャル・アーツ・マスターシップのテストケースでもあった大会。採点システムの運用が今後に向けた一番の課題として認識された。国際選手として参加したシンガポール、中国、マレーシアはいずれも金メダルを獲得。MVPの設定はなし。

最後日の集合写真
集合写真

大会こぼれ話・裏話

5月31日(金):突然の韓国行

 ラマダン中だというのに突然、韓国に行くことにしました。第2回韓国プンチャック・シラット大会に審判としての渡航です。当初は選手派遣も、自分が行くことも想定していませんでした。一週間前になって電話がなり、「審判として来てくれないか」と。ラマダン中ということもあり迷ったのですが、LCCで行けるというポイントは高く、渡航を決めました。

 LCCでお得に行けるのはよしとして、時差のない隣国だというのに目的地まですごく時間がかかりました。まず、出発先が成田。久しぶりの成田は遠く感じます。そして実際に遠いし。さらに、事前に聞いてはいたものの、大会会場はソウルから車で3時間の距離。
 空港で迎えてくれたのは、韓国プンチャック・シラット協会の関係者です。3時間のドライブの後、直接会場に到着したのは19時前でした。成田に行くのに家を出たのが7時ですから、移動に12時間かかってます。いやー、遠い。近いはずなのに。

準備中の会場
準備中

 設営中の会場で、久しぶりの韓国審判の面々と再会。久しぶりの再会を互いに喜んでいるのは伝わるのですが、言葉の壁が高いことも思い出しました。韓国語わからーん。それでもなんとか、審判講習が行われます。国際審判5名(シンガポール2、韓国2、日本1)と国内審判8名の体制です。本番にはもう少し人数が増えるかもしれません。

 PCプログラムを使って組み合わせ抽選も行われ、会場を後にしたのは21時頃になりました。夕食は韓国審判に誘われて、海鮮鍋。辛かったぁ・・・

 そして宿泊先はどことなく五反田というか、歌舞伎町の匂いがするエリアでした。

あ、察し…なカードキーのデザイン
準備中

 ネット情報によれば、どうもこちらでは、この手のホテルの通常ユースはおかしなことではないようです。最近の歌舞伎町ホテル街もインバウンドを対象にしてるようですし、立地と予算(宿泊費と部屋の設備・広さの兼ね合い)が合致した結果なのでしょう。実際、部屋は今までになく設備が充実してました。デスクトップパソコンが2台、大画面テレビに衣類乾燥機(スチームウォッシュ)、空気清浄機、ドライヤーにヘアアイロン、そしてトイレは当然ウォシュレット。

 部屋に不満はありませんが、明日の朝ご飯はどうしよう?こういったホテルなので、朝食ビュッフェ(コーナー)はなさそうです。うーん。(旅行者だから断食はしない)

6月1日(土):VIPゲーム

 結局、朝ご飯は韓国審判が声をかけてくれ、ホテル近くの食堂で海鮮スープをいただきました。そして会場に到着したら、驚きの事態が発生していました。

マットはどこへ
バドミントン

 どう行き違いが発生したのかはわかりませんが、昨夜設営した試合用マットが片付けられていました。うわーお。あと2時間で開始予定なのに。幸い、採点システムは完全ケーブルレスです。マットさえ再設営してしまえば、あとは時間のかかる作業はありません。選手より早く会場入りするのが審判、そんな審判団総出で再設営です。バドミントンチームの方たちも手伝ってくれましたし、心配されたほど時間がかかることなく、多くの選手が到着するより先に、再び会場が完成しました。

会場復活
復活

 今大会、ウズベキスタンとインドネシアが参加を取りやめたため、想定よりも試合数が少なくなっています。全45試合を2日間で行う予定です。この45試合の中には不戦勝(対ウズベキスタン戦)も含まれ、また、ジュニア未満の年齢カテゴリーは2ラウンドしか行わないことが発表されています。つまり、実際に試合を実施するために必要な時間はそう多くなく、余裕がたっぷりあるということ。事務局の「準備ができたら、その時に始めればいい」という指示もあり、到着時に会場がなくなっていたとは思えない、のんびりとしたスタートとなりました。

 基本的に試合の多くは韓国審判の経験値獲得の場として、彼らを中心に任命表が作成されていきます。そんなわけで稼働率はあまり高くありませんでしたが、国際試合を基本に、レフェリーや採点任務に就きました。加えて、今回初めてキッズのレフェリーを経験しました。小学1年生くらいの年齢で、まだ試合開始前の手順を覚えていません。しかも、意思疎通ができないという状況です(さすがに英語が通じない)。レフェリーの側が杓子定規にやっていては話(試合)が進まないと判断し、手取り足取り、幼稚園の先生のようになってしまいました。この年齢の試合は、シラット、テコンドー、空手、全部同じ感じになるような気がしなくもないです。ポカスカと打ち(蹴り)合いの押収がかわいらしかったです。

 昼休憩を挟んで、午後はゲストを迎えて開会式と特別試合が行われる予定。

昼食は屋外で
昼食会場

 残念ながら昼食の主菜はブーさんでしたが、副菜(漬物類)が充実していたため、白米を美味しくいただきます。ごちそうさまでした。

 開会式では演武部門のガンダ(二人演武)と、ジュニアの韓国対中国戦が行われます。国際試合ということで、この試合のレフェリーを務めることになりました。ゲストの皆さんへのアピールは大事。

地元メディアに掲載
地元メディア
現地メディア제2회 대한민국펜칵실랏대회 1일 공주서 개막より

 ゲストの皆さんが退出された後、再び試合が始まりました。そして、そろそろ本日の分が終わろうかという、スケジュールではほぼ最後の試合でアクシデント発生。観客が録画した動画の提供まで受けて、それでも結論がでず、まさかの翌日再試合。あらまぁ・・・まあ、こじんまりとした、当事者が少ない大会だからこそできることですね。

 昨日より早く帰投したので、明日の朝ご飯をコンビニで調達。シーフードラーメンにブー成分が入ってる国から来てる身としては、ちょっとチャレンジャーだな、と思いつつ…

6月2日(日):2日目最終日

 本日は、昨日消化しきれなかったいくつかの準決勝と決勝戦が行われます。準決勝の最終戦は再試合。昨日の試合でダウンした選手が、昨日の今日で戦えるのか心配です。ドクターのOKは出ているようですが・・・

 結果を言えば、1ラウンドを終えた時点で、コーチがタオルを投げました。昨日は接戦だったポイントも、今日は差が開いていました。口の中をがっつり切った、と聞いていますし、互いに体格の大きい選手で、しかも初心者ではないため、攻撃によるダメージも重いものが入ります。採点をしながら、このまま3ラウンド最後までやるんだろうかと不安を感じていました。コーチの判断は妥当です。再試合の判断が妥当かどうかはノーコメント。

 いくつかの国際試合のレフェリーを務めて、試合が全部終わりました。夕方には表彰式が行われます。

メダルと記念品
メダル

 参加者にキッズ・ジュニアが多かったこともあり、家族が応援に来る賑やかな最終日でした。そして当然、メダルを手にした我が子の写真を撮りまくり。この子供たちのうち、どれだけが大人になっても競技を続けるかはわかりません。でも、彼・彼女らの人生の一ページに”シラット”が刻まれたことを感じました。こうやって少しずつ広まっていくのでしょう。

 さて、帰国便は明日朝8時台。チェックインが2時間前として6時台には空港に到着していなければなりません。ここから空港までの距離、3時間…そう、3時台の空港行リムジンバスに乗らなければならないので、ホテルに戻って仮眠です。

6月3日(月):帰国

 昨夜、ホテルに戻ってから仮眠すること5時間ほど。5時間も寝れば仮眠とは言わないのかも?ともかく、待ち合わせの3時までに身繕いを済ませます。
 バスセンターでバスを待つ間、送ってくれた韓国協会関係者と話すことができました。今大会は(繰り返しですが)9月のワールド・マーシャル・アーツ・マスターシップのテストケースです。そのため、デジタル採点のシステムはワールド・マーシャル・アーツ・マスターシップ側が契約している業者で、シラット素人。おかげで今大会の運用中に改善点があぶりだされました。これ、9月に判明していたら大騒ぎになるところです。
 開発や運用にシラット関係者が関わっているのといないのとでは、できあがりに随分と差があることを実感しました。過去、何パターンものデジタル採点を経験していますが、やはりシラットの試合や採点を知っている人の関与が大きいシステムほど、使い勝手がよいものです。ともあれ、今回はテスト。9月のワールド・マーシャル・アーツ・マスターシップでは、問題なく使えることを期待します。

 9月の再会を約し、バスに乗りました。この長距離バスが思ったよりも快適。フットレストに足を延ばせるし、広いし、で爆睡です。そして早朝だったためか、3時間もかからずに空港に着きました。チェックインを済ませ、レストエリア(長椅子)でふたたびの休息タイム。
 レストエリアはブランドの免税店が並ぶ1階ではなく、2階部分にあります。そして気になったのは、どうも住んでいる感じのアフリカ系のグループがいること。隅の方に荷物が山になっていて、その近くのソファーがベッドのように占拠されています。グループといっても、1、2家族程度だと思いますが、あの荷物の量は明らかにトランジット待ちの機内持ち込み荷物ではないのです。リアル”映画ターミナル”なのか、難民なのか気にはなりましたが、興味本位で声をかけるようなものでもなく(大体、寝てたし)、今に至るまで真相は謎のまま。(一応、ネットを探ると難民申請中で空港足止め、という話が出てきます。)

 2019年6月17日追記: 「韓国の空港で暮らす「アンゴラ人一家」の真実」として、東洋経済ONLINEに本日、記事が掲載されていました。”7月に予定している第二審へ向けてのルレンド一家を取り巻く動きについて、次回詳しく伝えたい。”とあるので、続報を期待します。

 遅延が代名詞ともいえるLCCですが、予定より若干早く成田に到着しました。このままサクッと午後から出勤です。これで今月最初の海外ミッション完了、次は月末!