- 日帰り台湾 -

 2019年6月30日に台湾の台北市で開催された、台湾初のプンチャック・シラット大会を見学してきました。6月8,9日に初戦や審判講習の第1弾が行われ、30日は準決勝と決勝、表彰式が行われました。後述しますが、在台湾インドネシア人のためのイベントです。

 日帰りですし、国内大会なので大会概要・旅行記という分け方をせずに進めます。

台湾大会こぼれ話・裏話

 ひょんなことから開催を知った「台湾プンチャック・シラット大会」。開催日は日曜だし、LCCでほぼ日帰りが可能です。主催者にコンタクトを取り詳細を聞き出し、渡航を決めました。国内大会とはいえ、”初”開催とあれば好奇心が勝ります。

 行きはPeach、帰りはTigerAirという予定。そして往路のPeachが大遅延してくれました。悪天候により(恐らく台風)機材の到着が遅れる、とのことで予定時刻から待つこと2時間半。早朝便(6時)の予定が、普通に朝便(8時半)。先にわかってればもっと寝ていられたのに・・・当然、到着も遅れます。9時には到着して10時の大会開始に間に合うはずだったのに、到着したのは10時半近く。
 さらに入管がネズミーランド並みの長蛇の列でした。「ここから20分」の表示にたどり着くまでに20分以上かかり、「ここから20分」も実際には20分より長く、結局1時間近くかかったんじゃないでしょうか。タイミングが悪かったのか、それとも混んでいるのが通常運転なのか。並び疲れました。

 外に出て、こちらも待ちくたびれたであろう送迎担当と合流します。会場は台北体育館、そこまで電車での移動となります。まずは空港鉄道で中央駅まで。この時、送迎担当から渡された台湾版スイカにちょっと感動しました。

台湾版スイカ特別版
suica

 なんと驚きのルバラン特別仕様。インドネシア語の表示があったり、タリ・ピリンやナシ・クニンが描いてあるあたり、台湾におけるインドネシア人コミュニティの存在感の大きさが伺えます。
 中央駅からMRTに乗り継いで、外に出たらいきなりの熱帯。空港着いてから駅を出るまで、ずっと空調が効いていたので、ここがマンゴーの採れる熱帯だということを忘れていました。体育館周辺では、パッとみてインドネシア人とわかる若者がたむろしてました。試合の応援に来た人、休憩時間の人、などでしょう。

正面玄関のディスプレイ
入口

 中に入るには一応、セキュリティチェックがあります。かばんの中身を確認していました。運営の人間と一緒だったcizmaはスルーでしたが。ちなみにセキュリティチェックをしていたのは、台湾のナフダトゥル・ウラマ(NU)の人たち。マレー系(というかインドネシア人)だったので台湾当局ではないだろうに、迷彩服を着てるとはどういうことなんだろう?と思いました。NUにはそういう部門(?)があるようですね。
 会場の中に入ると、インドネシア人で大賑わいでした。インドネシア人のためのイベントなので、当然ではあります。  

試合の様子
会場

 今回のシラット大会は台湾プンチャック・シラット協会との協力事業ではありますが、台湾プンチャック・シラット協会のイベントではありません。主体は「GlobalWorkersOrganization(台湾外籍工作者発展協会、GWO)」です。外国人労働者(外籍工作者)が台湾社会で孤立しないように、サポートをする団体です。孤立させないために現地語の教室を開いたり、集まる場を提供(料理教室など)する活動をしているとのこと。さらに、外国人労働者が自国文化を紹介する機会も作っているとか。そういった活動の一つとして、初めて「シラット」を題材に開催したのが、今回の大会となっています。

 到着してから2,3試合で午前の部が終わりました。GWOの代表が海外からのゲストとして、韓国プンチャック・シラット協会兼アジアプンチャック・シラット連盟東アジア担当、中国プンチャック・シラット協会会長とcizmaの3名を、台湾プンチャック・シラット協会会長とともに昼食に連れ出してくれました。会場ではお弁当が支給されていましたが、我々は外食です。
 案内されたのは体育館からほど近いところにある、ハラールタイ料理泰富豪。タイ料理となってはいましたが、店内の雰囲気は中華。メニューもわりと中華寄り。いやぁ、大変おいしゅうございました。

女子もそれなりにいます
女子

 インドネシア人コミュニティが大きい、かつ、若者が多いのでしょう、会場は本当に賑やかでした。男性だけではなく、女性の試合もあったのが印象的です。介護人材ですかね。まだ初心者のような人もいましたが、そうではない経験者らしい女性選手もチラホラ見受けられました。
 試合部門だけではなく、演武部門も全て行われました。こちらはまあ、インドネシアの地方大会レベルかな、と。それなりに国際大会を見慣れた身には若干の物足りなさはありますが、それでも、「競える」エントリー数があるというのは素晴らしいことです。

 そして若さゆえか、決勝が始まると益々会場がヒートアップしてきました。何のために規制線があるのか、わからない・・・このロープより中には審判と当該試合関係者(選手とコーチ)だけ、となっているのですが、まあ、入り込む入り込む。台湾だけどインドネシアだから仕方ないと言えば仕方ないのですが、GWOの関係者は目を丸くしていました。シラット以外のイベントでは、こうもルール無視の状況を見たことがないそうです。
 アナウンスで線より下がるように言っても、従う人ばかりではありません。また、その従わない人を強制的に排除するわけでもないのです。強制的に退去、あるいは線の外に出るまで試合を止めるのがよいのでしょうが、会場の使用時間の関係もあり、ただでさえ押している予定をさらに延ばすのも難しく。自分が採点員だったら、あんな人がすぐ側にいたら、本当に嫌です。
 しかも、この従わない人はある特定個人で、とある流派の人らしく、対戦相手にとっては厄介なこと、この上ない。「あれをなんとかしてくれ」との苦情もあがってきます。そして最終的に台湾のおまわりさんをGWOが呼びました。これで、この会場を使っての次回大会開催は難しくなったことでしょう。それがわかっていたからこそ、GWOもギリギリまで警察を呼ぶようなことはしたくなかったのです。インドネシアらしいとはいえ、残念です。シラットは人格形成に役立つんじゃなかったのか(苦笑)

 メダル表彰式には在台湾インドネシア大使館(代表部)の大使(代表)が、来賓として参加しました。事前に連絡のあった時間より表彰式の開始が大分遅れたため、しばらく試合を観戦して待っている状態でした。表彰式の後、別の予定がなかったのか、調整可能だったのか、最後まで会場に居てくださったのは、ありがたいことだと思います。

記念品とメダル
メダルとか

 時間が押しているため、割とまとめて集団でのメダル&記念品授与でした。なので、受け取った記念品のタイトル(出場部門・クラス)が、本人のものではないというケースもチラホラ。後で調整はされたと思いますが、違うものを渡された本人はビックリです。

協会として感謝状をいただきました
感謝状

 個人のメダル、そしてメダル数からはじき出された優秀チームの1〜3位が表彰されると、選手たちは記念・写真大会モードに突入してしまいました。・・・でもまだ、大使の挨拶が残ってますよ!一部では社歌ならぬ流派歌のようなものを歌い始めましたが、大使の挨拶は続きます。皆、聞こうよ。まあ、大使もインドネシア人ですから、GWOに対して立腹することはないと思いますが。なんだかなぁ。シラットは人格形成に役立つ(以下略)

 全ての予定が終了し、会場も片付けが始まります。cizmaはGWO代表が空港まで送ってくれることになりました。もちろん、電車です。この時点で20時。飛行機は01時。途中でご飯でも食べましょうか、という話になりつつ、会場を後にします。
 そして電車に乗って中央駅に向かう途中、突然の途中下車。代表に電話がかかってきたようです。聞けば体育館周辺でインドネシア人が乱闘騒ぎを起こしたと。試合結果に不満だったのか、試合結果を傲慢に披露したのか、理由は分かりません。ともかく、場外乱闘が発生しているのが問題です。もう、GWOによるシラット関係イベントは今後開かれないのではないでしょうか。代表が盛大な溜息をついていましたから・・・シラットは人格を(以下略)
 とりあえず中央駅まで送ってもらい、GWO代表は会場に引き返しました。ここから空港までは一人で向かうことになります。って特急電車に乗るだけですけど。

 ここで驚きの勘違いに気づきます。飛行機は01時ではなく、0時でした!そう、出発前に携帯に表示されていたのは「日本時間」。飛行機の出発時間は「台湾時間」。ここには1時間の時差があります。01時のつもりでのんびりしていたので、ちょっと焦ります。途中でご飯を食べる余裕はなく、まずは空港に着いてから、としました。しかし、これが間違いでした。中央駅で何かお腹に入れるべきだったのです。
 桃園空港、多分24時間営業なんですが、空港が24時間なのとテナントの営業時間は連動していないのでした。21時を過ぎた空港到着時点で、閉まっているお店も多く、フードコートのメニューも売り切れがチラホラある上、基本的に豚さん。食べられそうなものがない・・・お腹空いた〜

 入管を過ぎたエリアに何かあることを期待して、列に並びます。入国時よりはマシですが、それでも結構時間が取られました。そして出国エリアは当然、免税店が並んでいます。こちらも夜ということで閉店、あるいは閉店間際。食事処も一つ見つけましたが、イートインのメニューは既に終了しており、お惣菜のみ。ああ、でもよく見ればサンドイッチがあります。豚さんと鶏さん、2種類ありました。鶏さんと水を購入し、待合室でモグモグモグ。一息ついたところで、帰国便の時間となりました。遅延なしで帰れそうです。

 それにしても、適当にノリと勢いで決めた台湾行きでしたが、行ってよかったです。到着するまで、韓国と中国の協会関係者が大会に来ているとは知りませんでした。台湾初の大会、それも大使臨席のそれに、東アジア地域から日本の協会だけが不参加だったら、台湾の協会とアジア連盟に対し、顔向けができなくなるところでした。
 アメリカから帰国してすぐの渡航、我ながらシラットと聞けばエンヤコラみたいで、なんだかな…って今更か。次はもう少し余裕のある日程で台湾を楽しみたいです。