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- 第29回東南アジア総合競技大会"SEA GAMES" -
2017年8月19日から30日までマレーシア(クアラルンプール)で開催された第29回東南アジア総合競技大会(通称:SEA GAMES)のプンチャック・シラットの部に審判として参加しました。プンチャック・シラットの部は8月24日からオフの中日を挟んで29日までの6日間(実質5日)に渡って熱戦が繰り広げられました。アジア大会での競技採用が決定してから始めての総合国際大会です。
第29回東南アジア総合競技大会"SEA GAMES"Pencak Silatの部 概要
(1)大会について
(2)大会参加国
(3)大会日程
(4)競技種目
(5)競技結果
大会こぼれ話・裏話
8月21日(月):一路クアラルンプール
8月22日(火):到着、下見
8月23日(水):審判講習
8月24日(木):初日、マレーシア金1個目
8月25日(金):2日目、マレーシア金2個目
8月26日(土):3日目、インドネシア金1個目
8月27日(日):中休み
8月28日(月):4日目、新会場
8月29日(火):最終日、圧倒的マレーシア
8月30日(水):帰国
おまけ:ほぼ日帰りインドネシア
第29回東南アジア総合競技大会"SEA GAMES"Pencak Silatの部(24~29th Aug. 2017)概要
2年に1回開催される東南アジア総合競技大会、cizmaの参加はお久しぶりの3回目です。前回の2015年シンガポール大会には召集されませんでした。
概要説明は前回の旅行記の焼き直し。大会への参加資格を有するのは「ASEAN諸国11ヶ国」です。この大会はアジア地域で最も歴史のあるアジアオリンピック委員会公認の地域大会だったりもします。東南アジア諸国によるオリンピックですが、オリンピックでメダル争いに基本的に絡まない国が多いので、ここぞとばかりに各国メダルを狙ってきます。正直、怖いです。ここでの結果が国での予算取りとかに直結するから仕方ないんですけどね。1959年に第1回大会が、そしてその後は2年に1回開催され、今回で第27回。プンチャック・シラットは第14回の1987年ジャカルタ大会から正式種目として採用されています。その他詳しくはwiki先生にでも聞いてくださいw
大会最終日を独立記念日8月31日の前日、8月30日に設定している開催国マレーシア。今年は独立60周年、かつASEAN50周年ということで、いろいろと気合が入っている様子がうかがえます。
ASEAN全11ヶ国のうち、カンボジアとミャンマーを除く9ヶ国が参加
: インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、タイ、フィリピン、ラオス、東ティモール
プンチャック・シラットは大会全体を通して3番目に多くの金メダルが設定されている競技です。それだけ、開催国マレーシアがメダルを見込んでいる、花形競技だということです。それでも実施試合数は77(実際は76)と当初見込みより大幅に少ない数となりました。おかげで余裕のあるスケジュールで運営・・・といえば聞こえはいい。正直、試合と試合の間の時間が空き過ぎて、待ち時間に疲れてしまいそう。
大体どの大会でも基本的な行動パターンが出来上がるのですが、今大会はスケジュールが二転三転したため、日によってまちまち。
前半の会場は徒歩20分程度の距離をバスで30分弱かけて移動。後半の会場はバスで1時間弱の距離。そういえば初めて、オリンピック委員会の絡む大会で審判控室におやつがなかった。
日付 | イベント |
23(水) | 選手登録 / テクニカルミーティング・組合抽選 |
24(木) | 開会式、男子ガンダ決勝、試合部門準々決勝 |
25(金) | 女子ガンダ決勝、試合部門準々決勝続き |
26(土) | 男子ルグ決勝、試合部門準決勝 |
27(日) | 中休み(会場移設) |
28(月) | 男子トゥンガル予選&決勝、試合部門準決勝続き |
29(火) | 女子トゥンガル予選&決勝、女子ルグ決勝、試合部門決勝 |
プンチャック・シラットの試合には大きく分けて、体重別の階級で打ち合う試合部門と規定の型を競う演武部門とがある。今 大会では以下のクラス/型でそれぞれの技が競われた。なお、当初予定では女子Cクラスも実施されるはずだったが、選手エントリーがなかったらしい。
1.男子試合部門(Tanding) Aクラス - 45kg以上50kg未満 Bクラス - 50kg以上55kg未満 Cクラス - 55kg以上60kg未満 Dクラス - 60kg以上65kg未満 Eクラス - 65kg以上70kg未満 Fクラス - 70kg以上75kg未満 Gクラス - 75kg以上80kg未満 Hクラス - 80kg以上85kg未満 Iクラス - 85kg以上90kg未満 Jクラス - 90kg以上95kg未満 |
2.女子試合部門(Tanding) Aクラス - 45kg以上50kg未満 Bクラス - 50kg以上55kg未満 Dクラス - 60kg以上65kg未満 Eクラス - 65kg以上70kg未満 |
3.男子演武部門(Seni) Tunggal (ソロ) Ganda (ダブルス) Regu (3人チーム) |
4.女子演武部門(Seni) Tunggal (ソロ) Ganda (ダブルス) Regu (3人チーム) |
審判をやってると表彰式は休憩タイムなので、MVPが誰になったのかはわかりません。特に今大会は最終日が一番スケジュールが押したため、閉会式もスキップ。
最多金メダル獲得国は20のうち10を獲得したマレーシア。目標8つ、と聞いていたので、大満足の結果だと思います。一方のインドネシアは”たった”の2個。演武部門で取れなかったこと、試合部門の準決勝でベトナムと当たることが多く負けが嵩んだのが原因です。また、ベトナムも予想外に金メダルが少なかった。演武部門で全く取れなかったことに加え、決勝で結構負けてしまいました。
今大会の結果について、SNSでいろいろと話題になっているようです。なにがあり、なにがなかったのかは知りませんし、知りたくもない。cizmaが知っているのは、選手はみんな、この大会に向けていろいろなことを選択しながら、沢山の練習を積んで本番に臨んでいる、ただそれだけ。
あまりメモを取っていないので、結果はSEAゲームズのHPより転載。想定外に結果のページが見づらいぞ・・・きちんと読み込めば銅メダルも割り出せるのですが、その気力はない。
部門 | 種目 | 結果 |
男子試合 | Aクラス | フィリピン vs インドネシア *優勝フィリピン |
Bクラス | ベトナム vs マレーシア *優勝マレーシア | |
Cクラス | ベトナム vs タイ *優勝タイ | |
Dクラス | タイ vs マレーシア *優勝マレーシア | |
Eクラス | ベトナム vs マレーシア *優勝マレーシア | |
Fクラス | ベトナム vs マレーシア *優勝マレーシア | |
Gクラス | ベトナム vs シンガポール *優勝ベトナム | |
Hクラス | ベトナム vs マレーシア *優勝マレーシア | |
Iクラス | ベトナム vs シンガポール *優勝ベトナム | |
Jクラス | シンガポール vs マレーシア *優勝シンガポール | |
女子試合 | ||
Aクラス | ベトナム vs シンガポール *優勝ベトナム | |
Bクラス | ベトナム vs インドネシア *優勝インドネシア | |
Dクラス | タイ vs マレーシア *優勝マレーシア | |
Eクラス | インドネシア vs マレーシア *優勝マレーシア | |
男子演武 | Tunggal | 1. マレーシア 2. インドネシア 3. タイ |
Ganda | 1. マレーシア 2. インドネシア 3. シンガポール | |
Regu | 1. インドネシア 2. マレーシア 3. シンガポール | |
女子演武 | Tunggal | 1. シンガポール 2. ブルネイ 3. インドネシア |
Ganda | 1. マレーシア 2. シンガポール 3. インドネシア | |
Regu | 1.タイ *ドーピングによりメダル剥奪
1. ベトナム 2. インドネシア |
大会こぼれ話・裏話
今回のSEAゲームズ参加にあたり、航空券は現物、というかEチケットで配給されました。利用航空会社は大会の公式スポンサーであるエア・アジア。羽田往復なのはありがたいけれど、ゆっくりできる航空会社ではない・・・普段なら問題のない話ですが、実はKL行に先立ち、ほぼ日帰りのインドネシア行を強行したため、今日も含めパスポートに出入国スタンプが9月18,19,20,21,22日と続く頭のおかしいスケジュールです。ある意味、移動のピークをLCCの深夜便で過ごすのは体力的に不安。ここは一念発起して差額を自腹でフラットベッドに変更です。こういうことができるのはビバLCC。
ビジネスクラスのサービスを期待するとがっかりなのでしょうが、あくまで目的は体を休められるフラットベッドであったcizmaには十分なものでした。相変わらず寒いエア・アジアの機内に十分耐えられる毛布は貸してくれるし、シートの寝心地も十分。いつも寝倒して移動していますが、それでも1,2時間起きに目は覚めます。それが今回は移動中に2回くらいしか起きませんでした。ぐっすり寝たというわけではないけれど、それでもシートで体を丸めての7時間に比べたら相当、楽。
機材の到着が遅れたため出発も遅れ、KL到着は予定より1時間ほど遅れました。どのような大会であれ、いつもうまくいかないのが送迎の人と会うこと。うまく会えなくてもKLなら市内への移動は問題ないし、会場に行けばなんとかなるだろう、と思いながら飛行機を降ります。そして、ただひたすらに広いKLIA2を歩く・・歩く・・・すると途中に明らかに大会関係スタッフが立っていました。
声をかけ、送迎係であることを確認します。珍しくなんのトラブルもなく会えた! と思ったのはここまで。彼はこの便で二人出迎えることになっているそうで、「もう一人、日本人の○○さんをピックアップするんだ。この便に乗ってた?」と聞かれました。同じ日本人だからといって別競技の人はわかりませんし、残念ながら面識のある方ではありません。とりあえず○○さんを待ちます。大分待ちましたが、○○さんは出てくる気配がない。仕方なくその場にいたセキュリティに○○さんの送迎を任せ、cizmaはこの送迎係の彼と入国手続きに向かうこととなりました。
途中、彼と会話する中でcizmaの到着は昨日21日である、と連絡が回っていたことを知りました。座席の変更はしましたが、フライトの変更はしていません。なんで昨日?そして、彼が教えてくれた滞在先ホテル名は、先日同じくSEAゲームに派遣されるインドネシア人審判に教えてもらったホテル名と違います。送迎係と無事会えたからといって、スムーズな運営とは限らないようです・・・ちょっと不安になってきました。
入国審査はSEAゲームズ関係者ということで列に並ぶことなく、スムーズに済みました。スタッフカードも無事、受け取ります。スーツケースも引取り、あとはホテルへ送迎車で行くだけ・・・ですが、送迎車の手配が出来ていません。どうもcizmaの到着は(書類上では)昨日の予定だったので、今日の送迎車手配リストに名前がないようです。やりくりして手配するため、もうしばらく時間がかかるとのこと。この時点で7時過ぎ。8時には手配できる、とのことで、フードコートで朝食を食べて時間を潰します。
指定された8時に戻ってみたところ…わりと想定内ですが車はまだ手配できていません。しばらく待ち、8時半頃に空港を後にしました。結局、8時に来るはずだった送迎車と実際に乗った送迎車は指揮系統が違うそうで、なんだかもう、あっちこっちしてる様子がうかがえました。まあ、ホテルにちゃんと連れて行ってくれればなんでもいいんですけどね。
さて、事前に審判仲間に聞いた話によれば、審判の宿泊先は試合会場であるKLCC近く。それが送迎車はKLの中心部とは思えないところで高速を降り、聞いていたのとは違う名前のホテルに到着しました。事前に聞いたホテル名は運営から聞いたものではないので、送迎係が運転手さんに伝えたホテル名が正しい可能性もあります。ホテルにはSEAゲーム関係宿舎であることが見て取れる垂れ幕があり、何かの競技関係者が集まっています。がしかし、このホテルでは会場(KLCC)から遠すぎるのではない???空港での運営の微妙な手際と、過去の大会参加経験から、「十中八九、このホテルではない」とcizmaの中でアラートが鳴り始めました。
車からトランクを降ろすことはせず、確認してくるから待っててくれ、とロビーへ。大会関係者用デスクは担当者が不在であったため、ホテルスタッフに確認をします。結果、このホテルにはシラット関係のファイルは”ない”。確実に違うホテルです。でもどこへ行けばいいのでしょうか・・・ホテルスタッフが大会関係者に連絡を取り、しばらく待っていると、大会スタッフらしき人がロビーに現れました。
「シラットのボランティアの人?」 おう・・・審判だぜ、International Technical
Offical だよ。まあいいけどさ。事情を説明したところ、彼が運転手さんと話をし、新たな行先を指示。そして、気の毒なのは運転手さん。「俺は空港で指定されたところに連れてきただけだ」と何回も言ってました。行先を間違えたとあっては叱責される可能性があるのでしょう。大会スタッフと本人に「運転手は悪くない、彼は言われたところに連れてきてくれただけだ」と証言しておきました。
「この車、市内に行くんだろ?12時からミーティングなんだよ、乗せてくれ」とブルネイの体操競技関係者が同乗し、正しいホテルに着いたのは10時近く。
チェックインを済ませ、指定された大会スタッフが常駐している会議室に向かいます。今日明日のスケジュールを確認しないと動けません。中に居たのは顔見知りのマレーシア審判たち。部屋割りを確認し、今日はフリーであることが判明しました。そして、昼食・夕食は自分でなんとかしてね、とも。マレーシアですから言葉もとりあえずわかるし、食べものに困るわけではないですが・・・まあ、時間指定されてお弁当渡されるよりはマシか。とりあえず今日の予定は20時に全体ミーティングがあるのみ、と言われました。
部屋に荷物を置き、一休みしてからお昼を探しに出かけることにしました。出かける前に会議室に立ち寄ったところ、インドネシア組が到着しています。がこころなしかぐったりしている様子。聞けば「部屋が決まっていない」とのこと。あれ?インドネシアの女性審判はcizmaと同室のはずですが。少なくとも、1時間前にはそういう話でしたし、そのつもりで荷解きをしましたよ。それが「相部屋ではなく一人一部屋になるように調整中。もしくは組合せを変える検討をしている」ということで、インドネシア組は部屋が決まらないそうです。そんな気の毒な彼らを会議室に残し、cizmaはKLCCに行ってみることにしました。Google先生曰く、徒歩20分かからないようです。
ショッピングモールを抜け、the KLCC Pedestrian Walkway Bridgeという長ーい空調完備の歩道橋を使ってKLCCまで15分ほどでした。IDを見せてセキュリティを通り、SEAゲームズ会場へ。本来は有料チケットの必要な空手を観戦し、まだ準備中で一般立ち入り不可のシラット会場に入れてもらえました。IDカード、大活躍。
観戦した空手はミャンマー対フィリピンとマレーシア対インドネシア。ミャンマー対フィリピンは普通だったのですが、マレーシア対インドネシアは怖かった・・・長年のあれこれに開会式公式ブックレットでのチョンボ、いくつかの競技での因縁が観客から噴出していました。もちろん、熱狂する観客が怖いのは初めてではありません。熱狂具合でいえば、ジャカルタで開催されたSEAゲームズの方が怖かった。なにが怖いって観客席の強度です。展示場のホールに設営された、いわば仮設のスポーツ会場。座席だけではなく、階段にも人が座り、通路にも人が鈴なり。設計重量大丈夫なんだろうか。さらに、その観客席で大勢のホームマレーシア人とアウェーインドネシア人が足を踏み鳴らしたりしながら、盛り上がってるわけです。観客席が崩れるんじゃないかと本気で怖かった。ちなみにカードはインドネシアの負け。
この日、インドネシアは空手で負けましたが、WUSHUでは金メダルを獲得しています。金メダルを持つJUWITA NIZA WASNI選手と会場でツーショット撮っちゃった。
ひとしきり探索した会場を後にし、ホテル近くのモールで昼食8RM。ホテルに戻ると喫煙コーナーにブルネイ組が居ました。彼ら曰く、夜はウェルカムディナーが19時からあるだけで全体ミーティングはない、と。先ほどの情報とあまりに違うので、一緒に会議室で確認です。結論:当初情報どおり夕飯は自分で探す&ウェルカムディナーはない&20時から全体ミーティング。
部屋に入ると、こちらも当初情報通りにインドネシア審判がルームメイトになっていました。が、ここでも情報は錯綜。彼女曰く、今日の夜は20時からウェルカムディナー。情報がガラガラポン?うーん・・・ウェルカムディナーはほぼ確実に”ない”と思います。どちらが正解か、時間になればわかりますが、20時になってディナーがなく、実際はミーティングだったら夕飯の喰いっぱぐれです。経験からディナーが”ある”に賭けたルームメイトを残し、18時過ぎに夕飯を食べに外に出ました。
部屋に戻りマグリブを済ませ、20時にロビーに下ります。cizmaは会議室に行くつもりで、ルームメイトは食事に行くつもりで。ロビーでマレーシア審判に会い「おお、集合はここじゃなくて会議室だぞー」と案内されました。cizma、大勝利。そしてルームメイトは夕飯を食べそこないました。まあ、完全なる喰いっぱぐれではありません。cizmaは夕飯に出た際、彼女に軽食用としてパンを買ってくるように頼まれていたので、結果としてそれが夕飯になってしまった、という話。
全体ミーティングはトップの前の予定が長引いたため、20時開始予定が実際は21時過ぎ開始。全体ミーティングと言っても、顔合わせのようなものです。トップの挨拶を聞き、明日以降のスケジュールが発表され、審判服など支給品を受け取り解散です。
そういえば、トップ=マレーシア運営サイドの挨拶は興味深いものでした。ほぼ開口一番、言及したのが開会式公式ブックレットの旗問題。今回、マレーシアは印刷物でインドネシアの旗の上下を間違える=ポーランドにする、という大チョンボをしています。8月17日の独立記念日で盛り上がってるインドネシア人に対し、このチョンボが19日に発覚するというのは、タイミングが悪い。ASEAN50年、マレーシア独立60年の節目に気合を入れてSEAゲームズに臨んだホスト国としては、初っ端でつまらないミソをつけた形です。そんな旗問題、運営側として謝罪するとともに、発生の理由を外国人労働者に見出す、というものでした。どの段階で下請けに出してるのかは知りませんが、末端での印刷を行ったのはバングラデシュからの出稼ぎ労働者であり、彼らはインドネシアの旗を知らなかった、と。赤い部分に模様でもあれば(それじゃシンガポールだ)上下がわかったのだろうが、知らないが故のミスだ、と。うん、まあ、そういうこともあるかもね・・・実際に起きてるわけだしね・・・ともかく、公式見解がそういうことなのでしょう(苦笑)
配布された審判服の袖が長すぎ、ウェアのズボンが長すぎたのを直して就寝。明日は9時から審判講習です。
今日の午前中は本番会場での審判講習。採点機械のシステムを試せる、本番前唯一の機会です。今回、cizmaは初めてタッチパネル式を使います。タブレットではなく、ASUSの分割型PCを使ってシステムを構築しているようです。が、審判席には切り離された画面側だけが設置されています。
試合(Tanding)でのボタンタイプとの大きな違いは点数を入れるのに「二度押し」が必要ということ。選択すると黄色くなり、二度目のタッチで緑になり点数として表示されるシステムになっています。タッチパネルを採用したことで画面そのものは広くなり、紙の採点用紙とほぼ同じ情報が表示されています。これは良い改善点。問題は画面を見る頻度、時間が増えたこと。まず、タッチパネルであるがために点数を入れる際に画面を見ないと押すポイントが確認できません。物理ボタンであれば、指を置いた場所でそのまま点数を入れられるので、試合から目を離す必要がない。もう一点は二度押しシステムのため、二度押しするために、さらに、その二度押しが確実に行われ点数が入っているかどうかを確認するために画面を見る時間が長くなったと感じました。あまりすぐに二度押し(タッチ)しても反応しないので、どうしても画面を見る時間が物理ボタン式より長いのです。画面を見ているということは、試合をしている選手から目が離れるということ。この先、独自の機械を開発するよりは既存のPCなりタブレットなりにシステムを載せていくことになるのは仕方ないでしょう。でも、できるだけ試合をしている選手から目を離さないで済むシステムを開発してもらいたいと思います。
演武(Seni)の場合も基本的な改善点と問題点は一緒です。画面が広くなった分、紙の採点用紙と表示される情報はほぼ同じになり、これは良い点。問題は動きの一つ一つを減点式で採点していくTunggal(ソロ規定型)とRegu(チーム規定型)。ボタン式であれば選手の動きから目を話すことなく、マイナスしていくことができます。今回のタッチパネルの場合、一つマイナスを入れるために少なくとも2回は画面を見て採点作業をする必要があります。試合部門以上に選手の動きから目を離したくない種目です。こちらもやはり、ある程度画面を見ないでも作業できるようにしてほしいと思いました。
まあこのシステムを使うしかないわけですし、テストでなんとかなったのですから、なんとかなるのでしょう。多分。
さて、午後はチームマネージャーたちを集めてのテクニカルミーティングと組み合わせ抽選です。これに出席しなければいけないのは競技委員長(KP)と審判委員(Dewan)のみ。ヒラ審判は午後、フリーとなりました。ちなみに本日の昼食・夕食ともに自分で探して、とのことです。食事が完全自由裁量な大会、初めてです。KLでよかった・・・これをミャンマーでやられてたら死んでました。
とりあえず一旦ホテル戻り、着替えました。昼食に行く前に会議室を覗くと、先日のほぼ日帰りインドネシアで会ったPERSILAT関係者と再会。なぜか一緒に会場に戻り、昼食をご馳走になることに。目上の彼から辞するタイミングを外しただけなのですが、一緒にいたことで知ったことがあります。それはマレーシア側トップのKLCCへのこだわり。どうやら会場設定の段階で当初提示されたシラット会場はKLCCではなかったようです。少々中心部からは遠いけれど収容人数の多い会場だったそう。それを華やかなKLCCでやることこそが、シラットのもつ「田舎クサい」というイメージを払しょくするために必要だと信じ、ここでの実施をもぎ取ったとか。確かにKLCCは若干手狭で、本来の用途がスポーツ施設ではないため、会場の動線や観戦に難があるのは事実です。そしてそのために不満が出ているのも本当。観戦チケットが早々に売り切れてしまったことも、不満の声が上がる一因でしょう。cizma自身も正直、アクセス便利でいいけれど、なんでこんなところでスポーツをやってるんだ、と思っていました。でもきちんと理由があったんですね。
ホテルに戻ったら既に夕方。昼寝のつもりが起きたら完全に夜でした。夕飯を食べに外に出るのがダルかったので、日本から持ってきていたフリーズドライな味噌汁とかで紛らわせて終わりにします。明日からいよいよ本番です。
さて、いよいよ本番が始まります。当初の予定によれば初日の今日は終日、演武部門が行われ、明日からは試合部門の予選、そして最終日に試合部門決勝となっていました。しかし、メディアの関心を引き、露出を増やし、ひいてはシラットへの観客の興味を獲得するため、「毎日」メダルが出るスケジュールに変更となりました。つまり、演武部門は一日で全て行うのではなく、各日に分散されることになったのです。本日行われるのは、マレーシアが金メダルを一番期待している男子二人組の自由演武ガンダです。昨日発表された予定表によれば、11時からガンダ決勝、その後、お昼を挟んで試合部門の予選(準々決勝)が行われることになっています。
演武部門は参加者が7名(チーム)以下であれば、予選なしの決勝と定められています。今大会ではソロ規定型演武トゥンガル以外は全て、即決勝でした。今日行われる男子ガンダは全7組のエントリー。
”決勝”のため、全組が本番前に国ごとに異なる盛り上げ曲とともに入場し”キメる”、という演出がありました。恐らく、いきなり知らされた演出なのでしょう。さすがにガンダ(演武)の選手たちなので形にはなっていましたが、彼らの戸惑いが伝わってきました。ついさきほど動きを打合せしたのがバレバレ(苦笑)
11時開始予定が少々押して始まりました。それにしても11時開始のために、今朝のホテル発は9時ですよ。所要時間20分程度なのに・・・
初っ端はホームの金メダル候補、マレーシア。当然ながらの大盛り上がり。点数も相当いい点が出て、会場はどよめきに包まれました。その後、フィリピン、タイ、ラオス、シンガポールと続きますが、どこもマレーシアの点を上回ることはできません。残りは王者インドネシアと強豪ベトナム。インドネシア、よかったんですけどねえ・・・マレーシアの上を行くことはできませんでした。ガンダは決まった動き・型があるわけではないので、採点にばらつきが出やすい種目ではあります。それでもマレーシアとの点差がちょっと大きすぎるかな、とは感じました。
最後のベトナムの点数次第で、マレーシアのメダルの色が確定します。よかったんですよ、ベトナム。これはインドネシアの上を行くか?と思いましたが・・・痛恨のミス発生。トヤ(棒)を叩きつける動作のはずが、手元部分がいつもより長すぎたのか床につまり、明らかに失敗です。会場にため息が漏れました。
演武種目でトップバッターを引き当てると、その後の演武の基準値とされるため、優勝は厳しいと一般的には言われます。しかし、今回のマレーシアはそれを覆し、見事に金メダルを獲得しました。シラット初日、最初の種目でマレーシアはいいスタートを切りました。一方、恐らくガンダでの優勝を確信していたインドネシアのショックは大きかったと思います。また、ベトナムの今までにない低い点数も、振り返ってみればこの先を暗示するものでした。
昼休憩をはさみ、14時から再開です。ちなみに本番が始まってからも、審判は昼食・夕食ともに自分で探してね状態でした。KLCCのフードコートで食べればいいだけの話ではありますが、食事が用意されない大会って初めて。しかも審判控室に、おやつもなかったです。審判は脳みそ使いますから、今までは控室に水分(コーヒーとか)・糖分(チョコとか)が用意されていたのですが・・・今大会では予算配分が会場設営(と施設利用料)に回ってしまったのか、食事のケータリングなし・おやつなし・水分なしという、現場での福利厚生はイマイチ。まあ、これは審判だけではなく時計係などのスタッフも同様だったはず。(そういえばネット記事でホテルの食事が足りないとかあったな)
全部で77試合を5日間かけて2面で消化します。これは正直、少ない部類なので、朝から晩まで実施して本気出せば2日で終われます。演武部門もあるので、実際にはそうはいかないのですけれども。なんにせよ、一日に行う試合数は10試合程度、となりました。一般的には1時間に4試合でスケジュールを組みますが、おかげで今回は1時間に2試合を基準に計算されています。
今日の午後の部は8試合。トラブルもありましたが、17時過ぎには終わってしまいました。トラブル・・それは機械のせいというか、連携不足というか、IT係のシラット知識が足りないというか、審判との言葉の壁というか。トラぶったのはラオス審判。英語を聞いてわかってはいるようですが、コミュニケーションするのは厳しい彼、マレー系言語は当然わかりません。彼への細かい内容を通訳しているのは、マレー語を理解するタイ審判。そんな彼がIT係とうまくコミュニケーション取れるわけもなく、なんらかの機械トラブルを、どうもIT係が初期化で済ませた様子。これが2ラウンド目が終わって、3ラウンド目が始まる前の話。問題は初期化したことで彼の採点内容が消えたこと。しかもバックアップなし。つまり、彼がどういう採点の積み重ねで両選手に何点入れていたかが、わからなくなりました。初期化するまえに審判委員に相談してれば、彼らの監視モニターにある点数を控えるなりできたんですが、初期化してしまったためにそれも消えてしまいました。幸い、ラオス審判は合計点だけは控えていたので、それを入れます。しかし、これ、実は大問題。シラットで同点になった場合、勝敗は点数の合計点ではなく、その内訳を確認することになるのです。突き3回で稼いだ3点より、一度相手を転ばせた3点の方が高い、という理屈です。その内訳がわからないと勝敗が決められません。しかも試合は僅差。幸い、3ラウンド目で差が開き、メモの合計点で優勢だった方が勝ったからいいようなものの、審判団全員が「バックアップないのかよ!」と驚くこととなった、中断時間の長い試合でした。
夜は20時半からVIP臨席のシラットだけのオープニングセレモニーです。会場への集合は20時、まだ3時間近くあります。ホテルに戻るバスは出ませんが、歩いても20分かからない距離です。これは一度戻って休む方が得策と判断し、てくてく一人で戻りました。(シンガポール組はGrabで戻ったようです)
あまり押すことなく始まったシラットのオープニングセレモニー。メインVIPは世界プンチャック・シラット連盟(PERSILAT)会長プラボウォ氏、マレーシアの人気若手政治家・青年文化大臣(多分)Khairy Jamaluddin(どうやら愛称はKJらしい)氏、マレーシアプンチャック・シラット協会(PESAKA)会長…名前がわからない・・・Datokなんとか氏。ってDatokは名前じゃないし。
セレモニーはクルアーン詠唱から始まり、沢山のVIP挨拶、VIPから各チームへの激励、選手及び審判による宣誓、PESAKA設立時4流派によるデモンストレーションと1時間ほどかかりました。
伝統流派によるデモはインドネシアで見るデモとは少し印象が違いました。やっていること(動き)に大きな違いはないはずですが、構成の問題でしょうか?近い感覚としてはインドネシア語とマレーシア語の違い。cizmaの印象では、インドネシア語は流行りを入れるのが好きで、ある意味無駄と思えるくらいに今は英語系語彙が入りこみ、古い言い回しが急速にすたれているように感じます。一方、マレーシア語は恐らく国内の人口(話者)バランスの影響でしょうが、インドネシアから見ると頑ななまでに古風な使い方を守っているように見えます。どっちがいい、という話ではなく、どちらに視点を置くか、なのでしょう。インドネシアに立てばあちらは古臭く、マレーシアに立てばあちらは軽薄なのかな、と思います。敢えて言えば、演武もそんな印象。
セレモニーの後、1試合だけ行われて本日は終了です。cizmaの割り振られた第2試合場(アリーナII)はセレモニーで石割デモが行われたため、掃除に時間がかかり、第1試合場(アリーナI)より開始時間が遅れてしまいました。それでも予定されていた22時半よりは早く終了。
明日は金曜なので、金曜礼拝の後、15時から始まります。ホテルに戻るのが遅くはなりましたが、少しゆっくりできそうです。
金曜礼拝の後に始まるので、本日の開始時間は15時です。ただし、ホテルから会場への送迎バスは12時半に出発します。これはムスリム審判たちを金曜礼拝に送迎するための措置です。バスが2回出動することはない契約なのでしょう(あるいは手配の都合)。つまり、金曜礼拝に行かない審判はKLCCにてダラダラと3時間過ごすことになります。うーん、KLCCに審判服で放置されてもなあ。歩いて行ける距離であり、そのルートもわかっているとあっては、わざわざバスに乗る気が起きません。集合時間に間に合うように会場へは自分で移動することにしました。
しかしこうなると、午前中から昼過ぎまでフリーです。これを機にシェア自転車 obike を試してみようと思います。初日から見かけてアプリはダウンロード済みです。アプリによればSEAゲームズ協賛で最初の1時間は無料のキャンペーンをしていますし、これは使ってみたい!と意気込んだのですが・・・残念ながら利用開始にはデポジットの入金が必要なようです。これもキャンペーン期間で通常の3割程度に大幅値引き中でしたが、一度のお試しのために手続きするのがめんどくさくなり、止めました。
この自転車お出かけプランには同行者(バリ人審判)がいました。自転車がNGになったからといってホテルの部屋に戻って過ごすのも、つまらない話です。モールに立ち寄って互いの用事を済ませたり、会場まで歩いてツインタワーと記念写真を撮ってみたり、と観光客っぽく時間を使いました。戻る途中、オタフクソースがお好み焼きの実演販売をしている屋台を見つけました。どうやらホテル近くのモール(伊勢丹の入ってるLot10)で日本フェスっぽいものが始まるようです。会場に行く前に部屋で食べるつもりだった昼食は、応援がてら、このお好み焼きを買おうと思いました・・・が断念。なんか今日はこんなのばっかり。
何が原因って一人用ピザサイズのお好み焼きが15RMですよ。近くの屋台でお腹いっぱいになるのに10RMするかどうか(昨日の夕飯は5RM、一昨日の昼食は8RM)、といったところに、いくら応援気分とはいえリンギットの手持ちがあまりない中で15RMは出せないです。フェスのクーポンを使えば10RMになる、と言われましたが、このクーポン冊子が50RMします。旅行者が使い切れるクーポンじゃないです。そんなわけで、お好み焼きの昼食を断念し、コンビニでマギー(カップ麺)を買いました…さみしい。
15時開始の女子ガンダ決勝に合わせ、14時会場集合です。毎日なんらかの決勝があるのは見応えがありますが、各チーム、翌日に行われる内容を知るのが前日の夜。せめて、どの演武種目をいつやるかを全部事前に教えて欲しいものです。演武種目を毎日やる、というスケジュール変更に加え、さらなる衝撃の情報がもたらされました。なんと、シラットの会場が変更になります!
え、なんで。しかも、この情報を公式より先に審判仲間のSNSで知るという現代っぷり。どうやらもっと沢山の人が観戦できるように、より広い場所に移動するようです。ありなのか。ありなんだな。本日の予定終了後に詳しい説明がある、とのこと。ビックリ。
さて、女子ガンダも”決勝”なので昨日同様、入場の演出がありました。準備時間があったためか、各組ともに昨日より動きがまとまっていました。ちなみに参加は5組、演武順にマレーシア、インドネシア、シンガポール、ベトナム、タイ。採点する審判も参加する5組の国の審判です。
男子同様、トップバッターを引き当てたマレーシアですが、それなりに高得点をたたき出しました。2番手のインドネシア、男子の雪辱を果たすべく、気合満点です。いい感じに進んでたんですけどねえ・・・武器パートでタイミングを外しました。ただ外すのではなく、ミスだ、と会場全体にわかるくらいに外してしまいました。もちろん、立て直して最後までやり遂げましたが、採点には当然影響し、マレーシアを上回ることは叶いませんでした。その次のシンガポールはインドネシアの上をいく点数で、暫定1位マレーシア、2位シンガポール、3位インドネシアで強豪ベトナムの出番がきました。悪くないと思いましたが点数は伸びず、インドネシアより低い得点となりました。最後のタイ、いい動きを見せましたがメダルに届くものではなく、結果、金マレーシア 銀シンガポール 銅インドネシア が確定です。
1時間ほどの休憩をはさみ、17時から試合部門が再開されました。今日の夜の部、cizmaのいたアリーナIIでは特に大きな問題はなく進みました。予定の試合を全て終了し、隣を見れば、全く終わる気配がありません。どうも機械がトラぶってるようで、ずいぶんと長い時間、中断していました。お隣のアリーナIはテレビカメラの入っている”メイン”会場です。そこがこの長い中断はみっともない、と判断されたのでしょう。チームマネージャーを呼び同意の元、残りのスコアを紙への手書きで行うこととなりました。待たされる選手はテンションを維持するのが大変。
それでも22時前には全部終わりました。昨日はまっすぐバスに乗りホテルに戻りましたが、今日は控室に全員集合が言い渡されます。会場移動に関するアナウンスがあるそうです。
実は会場変更の噂は初日(24日)にマレーシア審判から聞いていました。その時の話では明日(25日)に移動、ということでしたけれど、さすがにそれは無理だったようです。結局、28日に予定されていた中休みを27日に前倒しし、この日を使って設営をするそうです。27日に設営を行うため、明日26日は昨日今日のように夜ではなく夕方に終わらせる、と。26日18時から移設作業を始め、27日一日使って設営し、28日は14時から始めるスケジュールだと知らされました。歴史に残る大会中の会場変更に立ち会う運のいい審判団だ、というジョークには笑うしかありません。ものは言いよう、視点のもちようですね。
それにしても「ここじゃ狭い」という鶴の一声で、大金使って会場変更とは、さすがアジアです。
今日の決勝は男子ルグ(チーム規定型演武)です。エントリーしているのは演武順に マレーシア ベトナム インドネシア タイ シンガポール の5か国です。結論から言えば、やっと、インドネシアが待望の金メダルを手にしました。スコアはインドネシアがぶっちぎりの466。続く銀マレーシア445と銅シンガポール442の差は3点。ここからまた一段下がって、4位タイ437と5位ベトナム436は1点差。採点する正面ではなく、後ろの審判団席から見ている分にはベトナムがここまで点数を落とすほどの内容には思えませんでしたが、視点が変わると見えるものも違いますからね。
お昼休憩を挟んで、午後の部が14時から開始予定です。
14時開始の根拠はその時間に元首相のVIPが来るから、とのことでした。が待てど暮らせどやってきません。今日は夕方には終えて移転を始める都合上、30分待った時点でVIP抜きで始まりました。3試合消化したところで、一旦ストップ。今度こそVIPが来るので、運営の合図で試合を始めるように、とのことです。粛々と指示に従うのみ。
昨日はアリーナIでマニュアル採点への切り替えがありましたが、今日はアリーナIIで同じ事象が発生しました。原因はよくわかりません・・・まあでも、アリーナIIはノンビリしたものです。選手はのんびりしてないのですが、なんというか、運営からのプレッシャーがIよりは少ない。やはりテレビに不具合が映りこまないことが大きいのでしょう。
テレビが入ってないということは、マレーシア的花形選手の試合はもアリーナIIでは行われないということです。おかげで採点に集中できました。そして、業務のないタイミングでちょっとだけ、となりでやってたマレーシアのミスター・シラットの試合を見ることもできました。
相手はタイの長身選手、わざとではないのでしょうが身長差のために、もみあいの中でミスター・シラットの頭をボクッと殴ってしまいます。しかも、恐らくは元々がムエタイ経験者だからか、どうしても蹴りが足に当たってしまう(シラットではポイントにならないエリア。膝への攻撃は禁止、意図的な足への攻撃も禁止)ことが続きました。ミスター・シラットはできた選手なので、冷静なまま対処していましたが、冷静でいられなかったのが、彼の師匠筋でもあるマレーシアの審判委員。競技委員長に詰め寄るコーチ、というのは過去に何度も見ていますが、競技委員長の隣でレフェリーにブチ切れる審判委員は初めて見ました。気持ちはわかりますがテレビの入ってる、超注目花形選手の試合であれはマズイ。「落ち着け」と窘められ、控室に連れて行かれました・・・これは観客がコーチにとび蹴りをかましたジャカルタ大会に並ぶ、自分にとってのビックリシーンです。
終了したのは夕方17時過ぎ。予定より少し早く終わりました。審判は控室に集合となり、会場からは撤収の音が聞こえます。控室では先ほどの事態に対し、謝罪がありました。
まだ早い時間にホテルに戻れたので、モールのスーパーに買い物に出かけます。11月26日に東京ジャーミイで開催されるチャリティーバザーのお菓子買出し班なのです。まだ3ヶ月ありますが、日持ちのするものを選べば問題ありません。日本のムスリム・キッズ達にはなかなか手が出せないグミとマシュマロなどを買いました。
明日はフリー。審判にはバスに乗っての観光ツアーがあるそうです。食事して、メイン会場にある大会公認グッズ販売大テントに行き、ドリアンを食べる、のがツアー内容。ドリアンは食べたいけど、それ以外は別にいいかなあ・・・審判と親睦を深めるのも楽しいけれど、折角KLに来たのだからイスラム美術館に行ってみたい。ツアーはパスし、一人観光することに決めました。それなりに公共交通機関の発達してるKLなら問題ないでしょう。
イスラム美術館へ行くにはGrabを使え、とマレーシア審判に言われたのですが、馴染みのないアプリ配車より、公共交通機関を乗り継いで出かけることにしました。ホテルの目の前にはモノレールがあるし、セントラル駅から無料バスが出ていることがわかったからです。
一人で出かけるというcizmaを「くれぐれも気を付けて」とルームメイトが送り出してくれました。彼女のアドバイスはもう一つ、カバンのこと。最初、小さいカバンで行くつもりだったのですが、「そんなカバン、ひったくりに遭うだけだし、中が丸見えじゃないの。そっちのリュックにしなさいよ」と言われました。車での移動ではないので、確かにそういう可能性を考慮するべきでした。ちなみに彼女のリュックはanello。インドネシアで大流行と聞いてはいましたが、まさか目にすることができるとは。
最初の有人窓口では機械が故障だ、と反対ホームの有人窓口に回されるという、許容範囲のハプニングはありましたが、無事にスイカ(みたいなもの)を購入。これでバス電車を乗るのが楽ちんです。まずはモノレールでセントラルまで向かいます。高い位置からの車窓は楽しいです。
セントラル駅からGOKL(無料市内バス)のRED線に乗れば、美術館に近い国立モスクに着けるはずです。いや、でした。随分遠くまで行くなあ、とは思ったんです。路線図によればセントラル駅から国立モスクまでは2,3停留所のはず。それが気づけば国立モスクを大分過ぎたエリアのバス停をアナウンスしています。どうやら降り損ねたようです。というより、国立モスクに停まっていないのです。
そういえば、途中で騎馬隊に道を遮られました。どうも31日の独立記念日前、最後の日曜日である今日はなんだかのイベントが行われる様子。これに伴い、道路が封鎖されていました。道理で、あるエリアに軍隊の一団がいたり、空をアパッチが連隊飛行していたわけです。無駄に遠回りしてしまいました。
国立モスクのバス停には行かれない、ということなので、KL駅で降ろしてもらいます。ここから徒歩10分(もかかってないかな)で美術館。よくよく考えれば二度目の訪問となるイスラム美術館でした。でも飽きない。ゆっくり堪能し、次の予定を立てます。スイカを買ったので、ここは電車に乗るべきです。さて、どこへ行こう?
路線図と睨めっこし、無料バスでセントラルに戻ることにしました。セントラル駅直結のモールで昼食を取り、SEAゲームズのメイン会場BukitJalilに行くことにしました。他の会場を見てみたいというのもありますし、うまくいけば審判たちと合流できるかもしれません。
会場をウロウロしてたら、リマウ君を発見です。まだ、彼と写真を撮れていません。これは行かねば。ばっちり、ツーショットが撮れました。そして係の人曰く、急いでないならこのままここに居てリマウと写真を撮っててくれないか。これからVIPが来るのだけど、そういう場面が必要なんだ、今のままだとちょっと人が足りないんだ、と。予定があるわけではなし、承諾します。
やってきたVIPはKJ氏。そしてKJ氏の車は公式スポンサーのプジョーではなく、東南アジアで人気のトヨタ車VELLFIRE。いいのか。いいんだね。
どういうシナリオなのかよくわかりませんが、KJ氏に人が群がってはいけない&皆の視線はKJ氏ではなくリマウ君にないと困る、ということで、皆でリマウとセルフィーを撮るように、との指示が出ました。割と最前列で演出に協力しましたが、閉会式とかの振り返り動画に使われるのかしら。
会場をさらに歩いていたら、審判に遭遇。そのまま合流して彼らの次のイベント、ドリアン祭りに参加しました。ちょうどシーズンなんですね、おいしかった…
もう夕飯はドリアンで済ませた勢いでホテルに戻ります。道中、明日のバス出発時間は8時だ、とアナウンスされました。昨日の話では開始は14時と遅い時間でしたが、設営が思ったより早く済んだのでしょう、開始時間が10時早まったそうです。新しい会場、どんなところなんでしょうか。
新しい会場まで順調なら3,40分、渋滞したら当然1時間以上かかる、ということで、10時開始のために8時出発となりました。結局、40分程度で着きました。新会場の場所はBukitKiara。スポーツ施設の集まるところで、当然、周りになにもない・・・
確かに、前より広い会場です。広いのはいいのですが・・・観客席に傾斜がない。普段はこの広い会場を縦横に使う競技で、壁にある観客席で事足りるのでしょう。でも、シラットは会場の半分しか使いません。ディスプレイは採点を表示するものですし、反対側からは完全に選手が豆粒。
今日のスケジュールは10時から男子トゥンガル予選、試合部門続き、最後に男子トゥンガル決勝。
朝の男子トゥンガル予選では、今大会初めて演武部門の採点を任されました。元が演武部門選手ということもあり、普段、cizmaは演武部門での採点稼働率は他の審判より高いのですが、今回はこれが初めての採点になります。そして、結果として最後でもありました。今大会では採点を競技に参加していない国の審判から選ぶことが少なかったためです。参加選手が5人ならその5か国で、それ以上であればマレー4ヶ国(マレーシア、インドネシア、シンガポール、ブルネイ)+1で。このプラス1に選ばれることがなかったのです。
男女ともにトゥンガル予選は一組4人で競われましたので、参加選手と同国出身審判4人+1でした。男女計4回あった予選で、このプラス1に選ばれたのが、この男子トゥンガル予選A組だけでした。初めて参加したインドネシア大会では出ずっぱり、前回参加したミャンマー大会では1つを除いて採点をしましたし、世界大会でもそれなりの回数を任命されてきました。ここまで採点を任されることがないと・・・気楽ですw ドゥアーが通じたとしか思えません。アルハムドゥリラー
フードコートがないので、今日のお昼はお弁当が支給される予定になっています。・・・が待てど暮らせど…と言うほど長くはないですが、お弁当が届くまで1時間かかりました。急な注文だったから、とのことでしたが、このまま昼食抜きかと心配になってしまいましたよ。さらに、ここは基本的に手食の国、届いたお弁当にスプーンとフォークがついていません。仕方ないので、隣の部屋にいたベトナムチームから分けてもらいました。東南アジアとひとくくりにされてるベトナムですが、食文化は手食ではないのでしょうね。もしかしたら隣国ラオスも手食ではないのかな?タイ審判はムスリムなので(?)手食でいけてました。
午後の試合では、ある審判が機械トラブルに遭いました。何が原因かは聞いていませんが、うまく動作しないようです。機械を取り換えたりいろいろして、もう手書きでいいんじゃないの、となるくらいの中断時間を挟み、試合を再開します。その次の試合、またもや同じ審判が機械トラブルに。しかし、問題が彼にあるのか、2回連続して彼が座った同じ席にあるのかはわかりません。そして次の試合途中で原因が判明しました。タブレット、正確にはセパレート型ノートPCのディスプレイ部分ですが、の電池が残り少なかったのです。電源取りながら使ってたわけじゃないのね・・・ちなみにcizmaのディスプレイは電池残量6%でした。そりゃ、トラブルも出るわ。全員のディスプレイを電源とつないで、試合が再開されました。これを除けば、会場を変更したわりに全体としてスムーズに運営されていました。
今日の試合部門の予定を終了し、最後のプログラムは男子トゥンガル決勝。午前に予選、午後に決勝、体力的にきつそうです。何人かの選手は予選と違う衣装で臨んできました。汗かいてるでしょうしね、その方がさっぱりしていいと思います。
会場が遠くなったことで、ホテルに戻るのが遅くなるのを覚悟していました。それが意外と早く終了し、会場を出たのが18時、ホテル帰着が19時。ルームメイトのスーパー買出しにおつきあいする時間が出来ました。自分も少し、バザー用のお菓子を買い足しです。
明日もまた8時出発。2試合やってメダル表彰、の繰り返しなスケジュールのため、終了時間は相当遅くなりそうです。
とうとう最終日、今日の試合部門は全て決勝戦です。でもその前に、女子トゥンガルの予選があります。女子トゥンガル予選、試合全階級決勝、女子ルグ決勝、女子トゥンガル決勝、で一日が終わります。
9時半から始まった女子トゥンガル予選はA組がマレーシア・タイ・フィリピン・シンガポール、B組がインドネシア・ラオス・ブルネイ・ベトナムでした。各予選組上位3名が決勝に進みます。予選落ちしたのはマレーシアとラオス。まさか開催国が予選落ちするとは思っていませんでした・・・最終日最後の種目にマレーシアがいないのでは、観客の盛り上がりに欠けそうです。
女子トゥンガルの後、試合部門が始まりました。アリーナIとIIそれぞれが2試合やっては、4種目分の表彰式が行われます。表彰式、つまり審判にとっての待ち時間が長く、審判団は少々手持無沙汰。
表彰式のある最終日ということで、今日は再び元首相のVIPとKJが来ていました。待ち時間に彼らと写真を撮ってる審判も多かったです。表彰式なので、そういえばリマウくんも来てました。
ちなみに、今日のお弁当はあまり待たずに済みました。表彰式を見てるだけ、というのはなかなか暇なものですが、関心したことがあります。会場にはプレス用のwifiが飛んでいて、記者さんたちはPC持ち込みで(恐らく)その場で執筆・送信していること。時代だなあ、と思いました。試合中、試合直後もこうやってすぐに送信していたのでしょうね。
cizmaのいるアリーナIIで行われた第6試合は、マレーシアにとって記念すべき試合となりました。演武部門で3つの金を取り、今日の決勝には8人のファイナリストがいます。そして、ここまで負けなしで金メダルが合計9個。この試合で勝てば、前代未聞の10個目の金メダルとなります。そして、ベトナムを相手に勝ちました。観客はいつのまに用意したのか、「10」の紙を掲げて大喜びです。
対して、10個の金メダルを最大目標に乗りこんで来たインドネシアは、これまでのところ演武男子ルグの1個のみ。ファイナリストも男子1女子2の3人しかいません。男子はフィリピンに敗北。女子のうち一人はベトナムに勝利し、もう一人はマレーシアに負けました。これでインドネシアの金は2個。
マレーシア8人目のファイナリストはシンガポールに負けたため、試合部門の金は7個で打ち止め。シンガポールは2人のファイナリストのうち、1人がこうして勝ち、金1つを手に入れました。フィリピンはただ一人のファイナリストが前述のとおりインドネシアに勝利し、金1つ。ベトナムはマレーシアにことごとく負けてしまい、マレーシアより多い9人のファイナリストがいましたが、結果として試合部門で獲得した金メダルは3個のみ。
試合部門の金メダルは マレーシア7 ベトナム3 インドネシア1 シンガポール1 フィリピン1 タイ1 という結果になりました。金メダルを持ち帰れなかったのはブルネイ、ラオス、東ティモールです。この3ヶ国はファイナリストもいませんでした。
さて、さらに金メダルを増やせるかどうか、各国とも最後の演武部門女子ルグと女子トゥンガルにかかっています。
結論からいえば、金メダルを増やしたのはシンガポールとタイでした。タイはルグで、シンガポールはトゥンガルで1位となりました。チーム演武であるルグは金タイ 銀ベトナム 銅インドネシア、ソロ演武のトゥンガルは金シンガポール 銀ブルネイ 銅インドネシア という結果です。結局、ベトナムは演武部門で一つも金メダルを獲れずに終わりました。かなり意外。
さて、この二つが終わった時点で20時近く。最終日は通常、早めに終わるものですが、今回は逆に遅くまで会場にいることとなりました。ホテルに戻って荷造りし、明日は帰国です。
昼の飛行機ですが、事務局からは出発時間の5時間前にホテルを出るスケジュールで車を手配する、と昨日言われました。5時間は長すぎだろ・・・・と思ったのは全員一緒で、4時間前になりました。それでも空港までは1時間かかるかどうかですから、空港での待ち時間が長いことに変わりはありません。
審判のIDだと利用できる運営手配の交通はT3=バスです。でも他に同行者がいない単独移動だからでしょうか、来た時同様、帰りもT2=普通乗用車を手配してくれています。複数人で移動するシンガポールやタイ、インドネシアなど、他の国の審判たちはバスで空港に向かう手筈になっていました。ちょっとしたゴタゴタがあり、予定より少し早くチェックアウトし、インドネシア審判1人とともに空港に出発します。
飛行機のチェックインを済ませて・・・まだ3時間近くあります。KLIA2直結のモールをウィンドウショッピング。独立記念日(8月31日)と犠牲祭(9月1日)にあわせて市内でやっていたビックセールが、ここのモールでも行われていました。物欲を刺激されますが、服のサイズが合わなかったり、いまいち決め手に欠けたり、で散財せずに終わりました。
今回の滞在で唯一の心残りは、大会公式ジャケットを買えなかったことです。27日のオフ日にメイン会場のグッズスタンドで見つけたジャケット。デザインも素材もよかったのですが、人気商品だったのか、既にサイズが大きいものしか残っていません。サイズがぴったりじゃない&お値段もそれなりにする、ということで購入を保留しました。帰り際、「もう一度見て、やっぱり買ってもいいかな」と思ったところで審判仲間に会ったのです。彼らの向かう方向(バス駐車場)とスタンドは正反対。ジャケットはメイン会場ではなくても買えるかな、と思ったのですが・・・他で見ることはありませんでした。空港で売ってないかと少し期待もしましたが、ありませんでした。公式グッズを売るスタンドはありましたが、買い損ねたジャケットはなかったのです。残念。
折角なのでエアアジアのラウンジも使い、空港での時間を潰しました。
飛行機は珍しく(?)遅れることもなく、定時に出発。上空では台風が近づいているということで、ベルト着用サインがずーっとONな感じでした。まあ、寝てるだけなのであまり関係ないのですけれども。遅延がなかったおかげで、深夜料金になる前のバスに乗ることができました。帰宅は日付が変わってしまいましたが、今日付けでこの旅行はお終いです。
今大会でレフェリーをすることはありませんでした。任命されかけたのですが、諸事情によりキャンセル。採点審判としては決勝も含め38試合中23試合で稼働。演武部門は10回のうち1回のみ稼働。演武部門での低稼働とレフェリーをしなかったことで、今までになくノンビリとSEAゲームズに参加した気がします。研鑽を積む機会が東南アジア組に比べてどうしても少ないので、まだまだ「cizmaなら大丈夫」とSEAゲームズで任される審判ではないのです。悔し泣きしたくなるような状況に陥らずに済むのは助かります。でも、審判としての存在意義、成長のためには配慮に甘えてばかりもいけないな、と思います。大きな大会に参加するたびに、同じ感想ではありますが・・・技量を磨くには経験しかありません。経験がなかなか積めず技量に不安を抱かれるのであれば、審判仲間や選手、運営など誰もがcizmaの心根を「審判の誓いに忠実である」と確信できる審判でありたい。(了)
冒頭に書いたとおり、パスポートには18,19,20,21,22日のスタンプが押されています。
18日:日本出国
19日:インドネシア入国
20日:インドネシア出国、日本入国
21日:日本出国
22日:マレーシア入国
我ながら頭オカシイ。なにがおかしいってインドネシアに1泊3日です。マレーシア往復が大会運営による現物支給&インドネシア行を決めたのが10日前なので、不可抗力ではあります。この強行スケジュールを可能にしたのは、ANAの新時刻表。エアアジアのKL経由深夜便ではなく、ジャカルタ直行深夜便(現地着早朝)ができたからこそ、のものです。
インドネシアに何しに行ったのかと言うと、19日にボゴールで開催されたイベント" SARESEHAN BUDAYA TATAR SUNDA " に参加しに行きました。演武をしたわけではありません。このイベントでチマンデ普及功労賞(仮称)をいただくことになったのです。政府や自治体といった公的機関が発行するものではありませんが、兄弟弟子の推薦により、亡き師匠と同門である大先輩がくださいました。
Pendekar、普通に訳すれば「達人」「マスター」といったところですが、この場合は「功労賞」の方が実情に即した訳語としてふさわしいでしょう。
功労した実績があるかどうかは正直、謎。謎どころか事実として実績がないのではないか、と。でも、推薦状一枚で決まったものではないはずですし、なんらかの合意のもとで発行されている賞です。まあ、20年飽きずに続けてるのは事実なので、頂いた以上、恥じないようにしたいと思います。スンダ語、少し勉強しないとダメかな・・・
ボゴールでの滞在は5時間ほど、夕方にはジャカルタに戻りました。ジャカルタでは師匠の1000日供養です。もう3年、まだ3年。教えらえたこと、教わったことを消化できてるとは言い難く、ましてや身についてもおらず、さらに重要な「伝える」こともできていない。知識は預かり物、次代へ繋いでこそ。インシャアッラー
20日の朝便で日本へ、到着は夕方。インドネシア滞在時間、着陸から離陸まで26時間。