- 花とインドネシアなベネルクス-

 2010年5月8,9日にベルギーのアントワープで開催された第15回プンチャック・シラット ベルギー・オープンに参加してきました。2008年から3年連続のヨーロッパです。今回は海路郎さんの親戚がいるアムステルダム観光を組み込み、途中で大会に参加する選手と合流する、という日程。ベネルクス、と銘打ってはみたものの、実際に訪れたのはアムステルダムとアントワープの2都市のみ。
 *本文内に掲載した写真以外にもいくつかコチラで公開中です。

第15回プンチャック・シラット ベルギーオープン概要
 (1)大会について
 (2)大会参加国
 (3)大会日程
 (4)競技種目
 (5)競技結果

大会こぼれ話・裏話
 出発準備:シェンゲン・ビザ
 5月3日(月):移動日
 5月4日(火):市内観光
 5月5日(水):コスプレと花花花
 5月6日(木):オランダっぽいもの
 5月7日(金):アントワープへ
 5月8日(土):大会初日
 5月9日(日):大会二日目
 5月10日(月):移動日
 5月11日(火):帰国

第15回プンチャック・シラット ベルギー・オープン in アントワープ(8~9th Apr. 2010)概要

第15回プンチャック・シラット ベルギー・オープン大会 in アントワープについて

 2年に1回開催されている(らしい)、試合部門のみ=演武なしのオープン大会です。公式HPはコチラ。過去、何回かお誘いはいただいていましたが、日程が合わなかったりして、今回が日本勢初参加です。こなれた運営が印象的でした。

アントワープから車で20分ほどの会場
会場外観

大会参加国 (全8ヶ国、15チーム)

 ヨーロッパ諸国(6) : フランス、オランダ、ベルギー、オーストリア、イギリス、ドイツ
 東南アジア諸国(1) : マレーシア
 その他(1) :日本
 
 *国は8つだが、流派ごとにチームがあるため、参加チームは15。

大会日程

 こなれた運営のおかげで基本、スムーズ。時間もあまり押すことなく。フランスと比べるとこれはやっぱりラテンの血が薄いってことなのか?それとも経験値の問題?

日付 イベント
8(土) 選手登録・組み合わせ抽選
予選&準々決勝&準決勝
9(日) 決勝
表彰式

競技種目

 本大会は募集当初より参加人数の上限が決まっていました。運営規模や日程から逆算して、”できる試合数”が計算できるからなんでしょうね。当初は上限いっぱいいっぱいの参加申込みがあったようです。でも、事前に通知された登録者一覧により、軽量級に出場しても対戦相手が居ないことが判明したマレーシアが参加人数を削ったため、選手数は65名となりました。うち7名はジュニア選手。日本選手は男子Dクラスに参戦です。ちなみにベルギー・オープンは以前から演武部門の競技は行われていません。

 
 1.男子試合部門(Tanding)
  Bクラス - 50kg以上55kg未満
  Cクラス - 55kg以上60kg未満
  Dクラス - 60kg以上65kg未満
  Eクラス - 65kg以上70kg未満
  Fクラス - 70kg以上75kg未満
  Gクラス - 75kg以上80kg未満
  Hクラス - 80kg以上85kg未満
  Iクラス - 85kg以上90kg未満
  Open - 95kg以上
 
 2.女子試合部門(Tanding)
  Dクラス - 60kg以上65kg未満
  Eクラス - 65kg以上70kg未満
  Fクラス - 70kg以上75kg未満

競技結果

 最多メダル獲得国はマレーシア。男性MVPはマレーシアのFクラス選手、女性MVPもマレーシアのDクラス選手でした。

大会こぼれ話・裏話 & アムステルダム観光記

 2005年以来の海路郎さんとのエウロパ旅行です。基本、アムステルダム観光にアントワープでのベルギー・オープンのことなど。

出発準備:シェンゲン・ビザ

 割と世界中どこでも大手を振って優遇されている日の丸パスポートと違い、海路郎さんのガルーダパスポートはASEAN以外への旅行には割と不便。不便、というより、手間がかかる、という方が正しい。今回のヨーロッパ行きでも観光ビザを取得する必要があります。日程的に4日オランダ・3日ベルギーだったので、オランダ大使館で申請・・・と思ったのですが。オランダ大使館に行ってみたら「ベルギーで開催される大会が主目的で、オランダ観光はそれに付随するものであるから、申請はベルギー大使館で」と言われました。滞在日数が問題なんじゃないんですね。
 なんだか基準のわからない日本への観光ビザに比べ、ヨーロッパは書類がきちんとしていればビザが認定される印象があります。実際のところはどうなのかわかりませんけどね。でも事実、無職の海路郎さんでも観光ビザ出ましたから!! 無職状態をカバーするために、旅程表とか誓約書とかcizmaの在職証明&休暇証明を提出しましたが。とにかく、無事ビザがパスポートにペタン、と貼られています。
 以前フランスを訪れたときにも取得したシェンゲン・ビザですが、前回と違ったのはビザ取得後に「空港でビザ取得時の書類を求められることがあります。提示できない場合、入国が許可されない場合があります。」という警告文が渡されたこと。申請した書類のコピー取ってない・・・(オバカ)戸籍とかまた取り寄せるの面倒だなぁ。とはいえ、万万が一にも空港で入国拒否されたら洒落になりませんので、再度一通り揃え、海路郎さんに持たせての出発となりました。

5月3日(月):移動日

 今回の旅は初のスカンジナビア航空です。北欧はデンマーク、コペンハーゲン経由でのオランダ行きとなります。目的地のオランダには親戚がいたり、ベルギー滞在中の師匠と会うつもりだったりするので、トランクの中は行きにもかかわらずお土産満載で、相当重い。でも一番重いのは、ベルギーで食べるべく海路郎さんが詰め込んだサトウノゴハン。親戚にお世話になるオランダはともかく、ベルギーで「ご飯粒」を食べられなかったら死んじゃう、とばかりに5個パックをトランクに入れてた。でも、ホテルに電子レンジはないと思う。お湯も沸かせないと思うけど・・・はてさて、重い思いして運ぶ甲斐はあるのでしょうか。

コペンハーゲンまでの長旅はエアバス機
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 経由地のコペンハーゲンで一旦飛行機を降り、案内に従って空港内を歩くと、再びの安全検査コーナー。いつも思うことだけど、出発地の空港で既にやってることを、外に出てもいないのに、乗り継ぎのときにどうしてまたやらなければならないんだろう?検査が済んで、乗り換えエリアに出てみると、まあ、見事になにもない。あるのはセブンイレブンと本屋さんだけ。えー、ハブ空港がこれ??というくらいに何もなかった。コペンハーゲンでの待ち時間は2時間ほど。これでは、待ってる間に寝るしかやることない。でも飛行機でもう寝飽きたよー

 と思ったのは誤解でした、スミマセン。実は、パスポートコントロールってブースがあったんです。でも当初、そこはデンマークに入国する人が通るところだ、とスルーしてました。ブースの先にはトランク受け取りの場所があるだけ、と思いましたし、我々の目的地はオランダなので、入国スタンプはオランダのスキポールで押されるはずだ、と。デンマーク用のビザはないし、出ちゃまずいだろう、とも思ってたんですが、どうもおかしい。なにがおかしいってここにない店(スタバ)のゴミがある。もしかして、パスポートコントロールの先にもまだ免税エリアが広がってる?

 よく考えれば、EUはある意味、ひとつの国状態。つまり、最初に到着したところで入国してしまえば、後は域内移動=国内移動のようなものだったんですね。パスポートコントロールでスタンプをペタン、と押してもらった先には、しっかりと国際空港らしい免税エリアが広がってました。おかげで2時間退屈せずに時間をつぶすことができました。そういえば、ここでビザの書類見せろ、とは言われなかったな・・・

 次に乗るデンマーク・オランダ間を結ぶ乗り継ぎ便は国際線のつもりでいたのですが、実態は国内線のようでした。機体サイズが、ではなく、サービスが。格安航空会社ばりに、機内食・飲み物が有料だったのです。たかが1時間半ですし、手持ちのおやつもあるので特に不自由はしませんが、ちょっとびっくり。EUがひとつの国状態だと思えば、当然といえば当然ですけどね。

 そんなこんなで日本を出てから15時間。家を出てから20時間。時計の上では、12時間の移動時間を経て、無事、オランダに到着!! 空港には親戚=海路郎さんのお母さんのいとこ(いとこちがい、というらしい)が、息子を連れて車で迎えに来てくれていました。 海路郎さんとは6,7年ぶり、私とは初対面です。それにしてもこの時点で20時だと言うのに、まあ外の明るいこと。20分ほどでアムステルダム市内にあるお宅に到着。インドネシア料理の美味しい夕食をいただき、お土産を渡して今日はもう寝る・・・明日は市内観光するぞー

5月4日(火):市内観光

 今日は一日、アムステルダム市内観光。夜警のある国立美術館は外せない。でも他にはこれと言って”目玉”的ものが思い浮かばないのが正直なところ。一応、ガイドブック読んだり、人に聞いたりはしたんだけど・・・とりあえずは観光マップをもらいに、中央駅方面に出かけることにしました。叔母さん(いとこちがい、なんて書くと誰だかわからない)も用事があるらしく、一緒に駅までお出かけです。自宅から駅まで徒歩でも移動できる距離ですが、叔母さんオススメのStop&Goに乗ることにします。多分、叔母さんが歩きたくなかったんじゃないかと(苦笑) このStop&Goは都内で言うところの100円バスのような存在らしく、結構便利でした。1ユーロで1時間乗り放題ってのも使い勝手がいいです。もうひとつ便利だったのは、車内に地図が表示され、現在地がわかること。しかも基本的に好きなところで降りられます。難点は終バスが17時半と早いことかな。

駅前自転車置き場
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 東京駅のモデルとの噂(モデルではないそうです)があるアムステルダム中央駅は、周囲が工事中ということもあり、人・人・人。そしてこれだけの人が、一人1台自転車を持ち込めばこうなるよな、という、ものすごい量の自転車を収めた自転車置き場がありました。駅と併せて観光客の定番撮影スポットのようです。

 駅の側には、観光都市の玄関口らしく大きめの観光情報センターがあります。ここで地図を手に入れて観光スタート! のつもりだったんですけどねぇ・・・なんと地図が有料!! 大概の観光都市や街では観光局が発行している地図って無料じゃない?それで必要最低限の情報がわかる、それ以上の情報が欲しければ有料地図やガイドブック買ってね、というのが一般的だと思ってました。がしかし、プロテスタント商人の国オランダではそれが通用しなかった。観光局発行の地図が有料とは、いやはや、恐れ入りました。ある意味、イメージどおりではあるけれど、さすがだ。こう言っちゃなんだが、エゲツないというか、ケチというか、アコギ、というか。

 購入するほどの魅力を地図に感じなかったので、バス乗り場に戻ります。まだ1時間の有効時間内ですから、Stop&Goで国立美術館を目指すことにしました。ガイドブックに記載のあったとおり、改装中です。でもおかげでハイライトのみを効率的に見ることができました。絵画関係に興味のない海路郎さん連れなので、これくらいの量でちょうどよかったかも。

 美術館を出ると、もうお昼過ぎ。腹ペコ海路郎さんにご飯粒を探してあげなくては。なんか高級そうですが、ちょうど近くにインドネシア料理店があります。探せばもっと安くて美味しいところがあるんでしょうが、腹ペコジャワ人を引きずりまわすのも気の毒なので、ここで手を打つことにしました。お味は・・・うーん、美味しいけど、インドネシア料理だと思うとちょっとパンチが足りないかな。

 ヨーロッパはもう春だと思って油断した服装しか持参してなかったので、太陽の出ない時はなんかもう、えっらい寒いT_T 空気がピシっとしてるんですよね。でも、お腹に物を入れたら、体が少し温かくなりました。曇り空の下、街歩きを開始です。少し太陽が顔を出してくれたらいいんだけどな。

アクロバティックな駐輪自転車
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開かなかったマヘレの跳ね橋
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のどかな運河
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 歩いたりバスに乗ったりしながら、次の目的地シナゴーグに到着。日本でも広尾にあるらしいけど、見学させてください、というのはなんか敷居が高い。でもここアムステルダムのシナゴーグは、入場料を払えば誰でも入れる。ワクワクドキドキ・・・ってここも改装中だった。中には入れたけれど、ちょっと残念。でも、写真取り放題、音声ガイド無料、という太っ腹がうれしい。道を挟んだ向かい側にあるユダヤ歴史博物館への入場料もセットだと割引だよ、というので、ついつい乗せられて共通入場券を買ってしまった。歴史博物館の方は、うん、いろいろと興味深かったです。雰囲気としては、平和記念資料館に通じるような気がしました。あそこよりずっと予算は潤沢そうでしたけどw

正面(?)工事中のシナゴーグ
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シナゴーグ内部
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 次はどこへ行こうかな?中心部に戻りながら、またまた街歩き。日の入りが21時なので、まだまだ長い間、外に居られそうです。ちょっと寒いけど・・・

蚤の市の出張自転車屋さん
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東インド会社本社跡
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視線を感じたその先に・・・
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 中心の王宮広場に着いてみると、ここも工事中・・・なんか市内全域そこら中で工事してるなぁ。しかも、今日・明日と戦没者祈念(?)と(ナチスドイツからの)解放記念日とでイベントがあるらしく、広場周辺は通行規制が敷かれてました。あっちの道、こっちの道と迂回しないと広場の反対側に出られません。

迂回路大混雑
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 広場の反対側にある、中央郵便局を改装したショッピングモールMagnaPlazaに入りたかったんですが、イベントの影響か今日は早期閉店でした。内装が見たかったのになぁ、残念〜

 仕方ないので、運河周辺の建物を見物しながら、そぞろ歩き。気づけば、家はすぐそこです。叔母さん、今日はおでかけで居ないし、ご飯どうしようかな。お昼に奮発してしまったから、夕飯は近所のスーパーAlbertHeijnでお惣菜でも買おう。スーパーに入って驚いたのは、輸入食材としてではなく、オランダ発の食品として「インドネシア料理・調理」コーナーがあったこと。歴史的つながりも当然ながら影響を与えているのでしょうが、彼らは進取の気に富んでいるんじゃないかと思います。食に関して柔軟なのはいいことだ。そして、会計のときにちょっとしたアクシデントが。このスーパー、全国チェーンのくせに海外発行のカードが使えない! クレジットカード払いって世界のどこでも、VISAやMasterマークが付いてればできるんだと思ってたよ・・・これは思っていたよりも現金を使う羽目になる予感。

 20時近くに帰宅したけど、まだ明るくて変な感じです。明日はもう一人の叔母さん(泊めてくれてるおばさんのお姉さん)と、郊外までお出かけ予定。そういえば、スーパーに無料雑誌があったので読めないながらも、持って帰ってきました。いろいろとレシピが紹介されてたんですが・・・調理法は「焼く」か「混ぜる=サラダ」の2つしかなかった。簡単だな、オイ。

5月5日(水):コスプレと花花花

 今日の予定は、叔母さんお任せコース・・・ではなくて。外せないのはキューケンホフ公園と夕方のスキポール空港です。そこで叔母さんはキューケンホフ公園の前に、フォーレンダムに連れて行ってくれました。どうやら、フォーレンダムで民族衣装コスプレ>キューケンホフ公園、が定番観光コースのようです。
 実は叔母さんと海路郎さんは初対面。海路郎さんが生まれた時にはもう、叔母さんはオランダ在住だったそう。今はオランダの方と結婚し、国籍もオランダに変更されています。初めて会ういとこの息子(とその嫁)を時間を割いてくれるなんて、家族ってイイですね。

 フォーレンダムまでの道のりは、まさにヨーロッパ風景画の世界でした。もちろん、道路が整備されたり、家のスタイルが変わっていたり、電線が見えたりはするのですが、空の広さや木々の色などがこう、中世から変わってないんだろうなぁ、と。変わりようがないと言えばそれまでです。でも、日本ではもう浮世絵を連想させる風景に出会うのは大変なのに比べて、ここでは17世紀絵画の世界がすぐ側にある、というか。

車窓から
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 民族衣装撮影館(?)は、意外とゆるい運営をしてました。驚いたことに、自分たちのカメラでも好き勝手に写真を撮れるんです。ケチでアコギなオランダ人、なんて言ってごめんなさい(笑) 連れて行ってくれた写真館は、インドネシア人にとって定番のようです。前大統領メガワティ夫妻、故アブドゥル・ワーヒド元大統領一家のコスプレ写真がありました。他にも海路郎さんでも知っている芸能人の写真もありましたが、名前忘れた・・・

有名人のサンプル写真
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 ここは漁村なので、目の前に海も広がります。冬には沖のほうまで氷って、天然のスケートリンクになるそうです。そんな時期には来られないなぁ。叔母さんは夕方から仕事なので、キューケンホフ公園に送ってもらって、そこでお別れです。

 キューケンホフ公園は春の一時期だけ開いている公園です。花の見本市、みたいなもの?折角オープンしている時期にオランダに行くのです。少々お値段は張りますが、足を伸ばす価値はあるでしょう。なんといっても、オランダといえばチューリップですから。チューリップと風車を見ずにオランダに行った気になれない!!

公園案内販売中
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景色は春、でも寒い
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 公園は思っていたよりもずっと楽しめました。屋外施設なので寒かった、というのも正直なところではありますが。でも、あれだけ花を堪能できる機会はそうない。敷地も広くて、花の種類も多種多様。基本的に全部チューリップだけど、チューリップにあんなに沢山種類があるとは知りませんでした。3時間かけても時間が足りず、最後の方は駆け足での見学となってしまいました。空港に行く必要があったので、いつまでも公園にはいられなかったんです。

 空港までは直通バスで20分ほどでした。忘れそうになりますが、今回の旅の主目的はベルギーで開催されるシラットの大会への参加。私自身が審判として参加するだけではなく、選手も1名参加するのです。その選手が今日、到着するので、空港にお迎えに行きます。彼はオランダには1泊しかしませんから、一緒に叔母さん宅に泊まることになっていました。
 到着の遅れもなく、無事に合流し、電車で市内へ移動します。cizmaたちは車で迎えてもらったので、電車での移動は初めて。わりと適当な当て推量で切符を買い、「市内へ行きそうだ」と来た電車に乗り込みました。でも、よくよく回りを見渡せば、これは特急では・・・切符はもちろん、普通乗車券のみ。検札に遭わなくてよかったわ〜

 中央駅に着いたのは19時前くらい。残念ながら一番手ごろ、かつ家の近くで降りられる移動手段、Stop&Goは既に終バスが過ぎています。バスは路線がわからないので、トラムを使って家からちょっと離れた停留所まで行き、そこから歩くことにしました。運河沿いを散策がてらプラプラ。家に着き、ご飯をいただき、一休み。本当はこの後、プリサイディリ派(PD)シラットの練習を見に行きたかったのですが、交通手段がなく断念しました。代わりに、明日はPDの人が観光案内をしてくれるそうです。どこ行くのかなー?

5月6日(木):オランダっぽいもの

 初めて会ういとこの息子につきあってくれる叔母さんもありがたいものですが、初めて会う他人を「同じPDを学ぶ仲間(昨日合流した選手D君と海路郎さんはPD練習をしています)」というだけで連れ出してくれるJ君もいい奴だと思います。シラットの家族主義ってこういうところに出るんだなぁ。それはさておき、J君が来るまで近所をちょっとお散歩です。D君はオランダ滞在が24時間(睡眠時間含む)ほどですから、残り数時間で「オランダっぽい」ことを見聞しなくては!! D君、夕方にはベルギーに移動してしまうのです。

アンネ・フランクの家に入館待ち
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簡易公衆トイレ・男性専用
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 車で迎えに来てくれたJ君がまず最初に向かったのは風車のある風景。今日のテーマは「オランダっぽい」なので、それに合わせた観光ルートです。ここ、夏にはキャンプやBBQする人で賑わうそうですが、今の時期はまだまだ人が居ません。つか、風がびゅおうびゅおうと吹き付けていて、キャンプどころじゃないと思う。でも、めげずにランニングしてる人がいました。元気だな〜

 次は「元王宮」に到着。女王が代替わりしてから引っ越したので「元」王宮なんだとか。ここはJ君の地元です。王宮がオランダっぽいというよりも、ご自宅に招待してくれたのが「オランダっぽい」と思います。きれいに整理された家と庭が見られました。(叔母さん宅はマンション?タイプなので庭がない) 近所のスーパーで「オランダっぽい」料理(というよりはスナックか)の代名詞ハーリングをいただきます。いやこれが美味しい!! 旬だ、ということもあるのでしょう、脂がのった鰊と玉ねぎが絶妙。アンチョビが好きな方には堪らない味ではないかしらん。

 cizmaは割と旅行記を書くことを前提に、旅行中は写真を結構沢山撮る方です。旅行記は書かなくても、プリントして一時帰国した時に家族に見せることを念頭に写真を撮ってます。つまり、特に面白いと思えるものではなくても、とりあえず写真を撮っている、ということ。それを見たJ君の(多分)ジョーク。「オランダで観光資源・観光地が”成功している”と言えるのは、日本人がバスでやってきて写真を撮った時」 そんなに日本人はカメラ・・・好きですよね、ええ。海路郎さんの日本人観光客のイメージは、メガネかけて出っ歯で首からカメラ、ですし。ヘタリアでも日本はカメラ持ってたしなぁ。ハハ

こういう風景を撮るのが意味不明らしい
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 ところで、J君に鰊の返礼として抹茶味のキャラメルをあげたら、これがまたビックリするくらいの大不評。耐えられずに出しちゃいましたよ。・・・なんでだろう?J君の弟にも食べさせてみたら、こちらもダメでした。おかしいなぁ。叔母さん宅の息子さんは美味しいって食べたのに。抹茶のどこがアウトだったのか、いまだにわかりません。アジア系には評判いいんだけどな。今度は抹茶味のkitkatを持っていってみるか〜

 こうしてオランダの風景、家族、料理を堪能した後、空港までD君をお見送り。cizmaたちはPDと一緒に明日、車でベルギーに移動します。

5月7日(金):アントワープへ

 当初は大会開催地のアントワープまで、電車で移動するつもりでした。それが思いがけずにオランダのPDチームが一緒に移動しよう、と誘ってくれたため、アムステルダムからアントワープまで3時間のドライブです。距離的には1時間程度のものだそうですが、道が常に渋滞しているので、それだけかかってしまうんだとか。アムステルダムからアントワープまで、J君のお父さんが運転してくれます。運転のお礼に(<というよりはネタとして)抹茶キャラメルを差し上げましたが、こちらのお父さんは「うん、大丈夫食べられる。おいしいじゃないか。」との反応。うーん、息子たちとの差は一体どこから来てるんだろう??

 アントワープに近づくと、周りの車のナンバープレートが変わってきました。オランダを示す(であろう)NLが一般的だったアムステルダムに比べ、当然ながらベルギーを示す(はず)Bが圧倒的多数です。でも、近いのでNLも結構見かけますし、ドイツやポーランド、スペインなんかも見ました。感覚としては、「他県」ナンバーって程度なんでしょうね。

 J君たちにホテルまで送ってもらい、明日の再会・善戦を約束してお別れです。到着したのは夕方でしたが、日が暮れるまではまだ時間があります。昨日同じ宿にチェックインしているD君は、外出中で合流できません。それにまずは、明日・あさっての朝食を確保しなくてはなりません。ホテルの食堂にも朝食サービスはあるんですが、7ユーロと正直お高め。隣にいい具合にスーパーがあったので、そこで買出しをしてから、二人で市内観光に出かけることにしました。

 首都ではないからか、アントワープは明らかにアムステルダムより景気の悪い雰囲気を醸し出しています。曇っていたせいでなんか気分がどんよりしたのかもしれません。でも、アムステルダムよりは確実に中心部、そしてそれ以外でも「空き」「貸し」の看板が多かった。ベルギーはいち早く「顔を覆うタイプのイスラム女性服禁止」を打ち出しましたが、安全上の理由だ、文化摩擦だ、というよりは、単に景気が悪くていろいろと余裕がなくなってしまった結果なんじゃないかと感じた次第。

アントワープ駅
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絵が見たいねパトラッシュ
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 一通り歴史地区の有名どころを見物して、ホテルに戻りました。そうそう、ここでは観光地図が無料!! やっぱりオランダはケチだ(苦笑)

5月8日(土):大会初日

 大会会場はホテルのあるアントワープから車で20分ほど行ったところにあります。なんとなく、住宅街っぽかった。大会は初日の今日は、選手登録と予選全部を行います。予選全部やるって今日の終了時間は何時なんだろう・・・

会場内部
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 予選なので、採点審判は3人体制。これに試合を裁く主審、監督する審判長を加え、1つの試合会場に最低5人の審判員が必要です。試合会場は2つありますから、最低10人は必要ということ。ん、審判員の服を着ている人の数がちょうど10人ですが・・・うわ、完全にフル回転じゃん。トイレ行ってる暇すらない感じ。 そんなわけで、初日の記憶はあまりありません。採点して審判して採点して採点して審判長席座って採点して審判して・・・そうして1日が終わりました。なんかネタにすることもあったような気はしますが、疲労が記憶を上書きしてしまったようです。

 残念ながらD君の試合はcizmaが居る試合会場ではない方で行われたため、見ることができませんでした。後で映像を見せて貰いましたが、昨年よりも成長の後が見られてよかったよかったw 結果は負けてしまいましたが、試合を担当した審判や他のチームの人に「D君はいいものを持っている」「いい試合をしていた」とも言われましたし。この次目指して、がんばれ!!

 あ、ひとつネタを思い出しました。登録時の計量で規定の65キロを若干、ほんのわずかにオーバーしていたD君。靴下脱いでメガネ外して65キロジャストとし、ギリギリのクリア。本来のルールなら試合前にも再計量があるのですが、今大会は運営にかかる時間が優先され、再計量はなし。体重がギリギリすぎて昼ごはん食べられないかと思いましたが、これで大手を振って食べられます。
 そうだ、ご飯つながりでもうひとつ。事務局による事前案内では「アジアの食事」を1食13ユーロで用意する、とのこと。しかし蓋を開けてみれば、インドネシア大使館関係者がお弁当を提供していたパリやロンドンと違い、ここでは体育館付属のカフェテリアが提供しています。つまり、メニューの中身はパンとスパゲッティ。むー、これでは話が違うじゃないか。いや、勝手に「ご飯粒」だと思ってたのが悪いけど、アジア食と言われればご飯だよねえ。
 ホテルに電子レンジがなく、お湯も沸かせず、折角持参したサトウノゴハンが食べられない海路郎さん。最後の望みを絶たれた感じで、この後、急速に「タイガー力が出ないよ〜」な可哀想な状態になっていきます・・・ご飯粒がない食事なんて、食べたうちに入らないんだそうです。あーあ。

5月9日(日):大会2日目

 今日の予定はオール決勝戦&表彰式。通常の場合、大会を最後にぐっと盛り上げるために最終試合にはホスト国がファイナリストの試合をプログラミングします。しかし、今回はそういうこともなく、淡々と女子の軽量級から重量級、男子軽量級から重量級、ジュニア、と順番が回りました。
 そして、午後の部の前に、ベルギー滞在中の師匠と再会。滞在先は大会開催地より離れているようですが、わざわざ顔を見に来てくれましたのです。渡せるかどうか危ぶんでいた、師匠へのお土産も無事に渡すことができました。審判姿も見せられたし、これだけでもベルギー大会に来た甲斐はあったというもの。師匠と次に会えるのはいつだろう・・・また年末年始に行こうかな。

 大会はサクサクと予定をこなし、表彰式へ。運営が慣れているのか、利用時間の都合なのか、表彰式の邪魔にならない程度に後ろでは撤収作業も同時に始まりました。

メダル最多獲得国・男女MVPはマレーシア
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喜びの裏で作業中
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 ひとしきり皆と記念写真を撮りあった後、ホテルのあるアントワープに戻ります。荷物を置いて、3人で打ち上げをするつもりだったんですけどね・・・昨日から力の出ない食事ばかりで体力が底をついた海路郎さんは部屋に着いたらダウン。寝てたいという人を引きずりまわすわけにも行かないので、かわいそうですがお留守番です。

 D君とまずは明日の朝ごはんを買出しですが、これが一苦労。24時間のコンビニやお正月すら営業している都会に慣れきった人に、日曜はかたくなに休みのヨーロッパはちょっとツラい。3軒回ってやっと開いているスーパーにたどり着きました。ここも実はあと1時間で閉店でした。休みは休み、というライフスタイルもいいけれど、短期滞在者にはやりづらい。

 いくつかレストランを覗いて、最終的に入ったのはその名も「インドネシア」というインドネシア料理店。ヨーロッパへ来てなぜインドネシア料理、というチョイスですが、ここならご飯粒あるだろう&それを持ち帰れるだろう、というcizmaのわがままにD君が乗ってくれた結果です。結局、こうしてみるとおやつのような食事(ハーリング、パンとチーズ)以外はオランダでもベルギーでもインドネシア料理ばっかり食べてるなぁ。そして、目論見どおりお持ち帰りもできました。ホテルでへばっていた海路郎さんですが、ご飯粒を食べて、元気百倍勇気りんりん(意味不明)

5月10日(月):移動日

 空港のあるブリュッセルまで、大会関係者が送迎してくれました。平日の朝なのに、ありがたいことです。再度火山灰が出始め、イギリス方面は空港が閉鎖されていたようですが、ベルギーはそんなこともなく。目的地のコペンハーゲンも通常営業のようで、日本を出発する前に一番危惧していた「帰れない」という事態には陥らずに済みそうです。そんなことになったら、海路郎さんが不法滞在者になっちゃう!と結構本気で心配してたんですよね〜

 乗る予定の機体の到着が30分遅れ、結局、出発準備も合わせて1時間、コペンハーゲン行きは遅れました。その分、コペンハーゲンでの待ち時間が1時間短くなりましたが、3時間が2時間になる程度は、逆にありがたいとも言えます。

 それにしても、ヨーロッパは遠い。コペンハーゲンから成田行きの飛行機に乗って、着いたらもう11日です。時差があるとはいえ、時計の上では24時間以上移動しています。しかも、移動中は寝るくらいしかやることがない。旅の醍醐味は減るけれど、どこでもドアがあったら本当に便利だと思う。

5月11日(火):帰国

 やっと着いた日本は暖かかった。思っていたよりもずーっと寒かった春のヨーロッパとの温度差で、帰国後風邪を引いたcizmaでした。さて、次に海路郎さんとヨーロッパに行けるのはいつかな?ポータブル電子レンジが発明されるまで、無理かもね。もしくは、マレーシアチームみたいに炊飯器持参の旅・・・でもそれは嫌だ(苦笑)