Innnalillahi wa innaillaihi rojiun*

 2005年3月時点で2回、ムスリマ(女性のイスラーム教徒)の死者を洗浄する機会がありました。きちんと勉強したり、先生達に確認を取った内容ではありませんが、cizmaが参加したときはこんな感じでした、というメモです。2回ともインドネシア人ムスリマだったので、洗浄場所は在東京インドネシア大使館、埋葬地はインドネシア(=飛行機に乗せることを前提として死者を包む)でした。

 死者の洗浄に参加できるのは、イスラーム教徒であることが大前提で、死者の同性の近親者、または生前親交の深かった同性の友人などとなりますが、異国、しかもムスリマ人口の少ない日本では、都合のつく人が参加することになります。男性が男性を、女性が女性を洗浄するのが基本ですが、例外として夫は妻を、妻は夫の洗浄に参加できることになっています。

 洗浄の際に注意されたことは、
 ・リーダーを決め、その指示に従うこと(礼拝にイマームがいるのと同じような感じかな)
 ・ノンムスリムの見学はお断りすること
 ・月経中の女性は洗浄に参加しないこと
 ・子供及び妊娠中の女性はその場に居ないこと
 ・初めての場合、死者の目を直接見ない方がよい(慣れないうちは、ということ)
だったかな。

*インナー リッラーヒ ワ インナー イライヒ ラージウーン:本当にわたしたちは、アッラーのもの。 かれの御許にわたしたちは帰ります。

洗浄に必要なもの

サンダル、エプロン、手術用手袋、(マスク)、石鹸、綿棒、脱脂綿、ハンドタオル、バスタオル、白布、ぬるま湯、手桶、香油、鋏、(爪切り)、(ピンセット)

洗浄の流れ

  1. ファーティハ章を唱える。
  2. 肌が見えないように首から下を布で隠しながら、死者の着衣を脱がせる。
  3. 完全に着衣を脱がせたら、さらに局部をハンドタオル等で隠す。
  4. 上体を起こして下腹部を撫ぜ、体内から汚物を取り除く。
  5. 体全体を洗う。(毛髪はシャンプーを使い、体は石鹸を使う。死者が化粧をしていたら、それも落とす。)
  6. 清浄なぬるま湯と手桶*でグスルを施す。*ナジャーサに触れていないもの。
  7. 体全体から水分をふき取り、体を隠していた布も乾いたものと取り替える。
  8. 局部を脱脂綿で褌のように覆う。
  9. 鼻・口・耳に脱脂綿をつめる。
  10. 両手を礼拝時のように胸の前で組ませ、紐状の白布で軽く縛る。(爪が伸びていたら切ってもよいが、そのままでも構わない)
  11. 両足の指の間に脱脂綿を挟み、両足を紐状の白布で軽く縛る。
  12. 白布を5枚使って、死者を包む。

白布5枚:
1) 小さい正方形:△に折ってヒジャーブにする。
2) 肩から膝くらいまでの長さ×2の長方形:上衣にする。中央まで切れ込みを入れ、着物のように体の前で合わせる。
3) 1メートル程度の長方形:褌のように局部を覆う。
4) 腰布サイズ:下半身を包む。
5) 身長+1メートル程度の長方形:体全体を包む。

洗浄に参加して

 まだ2回しか経験はありませんが、洗浄に参加し、死者に直接触れることで実感するのは、やはり、アッラーの偉大さです。正に、「本当にわたしたちは、アッラーのもの。 かれの御許にわたしたちは帰ります。」という言葉がぴったりなのです。

おまけ

 その後、とある勉強会用に資料を作りましたので、それを掲載します。word文書をwebページ保存してあるので、若干見づらい点はご容赦のほど。