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映画「ハビビとアイヌン(Habibie & Ainun)」

8月17日はインドネシア独立記念日、2016年の今年は71歳になりました。いいおじいちゃんですね。まあ、それはさておき、独立記念日界隈でイベントが目白押しとなるのが通例。その一環として開催された留学生協会主催のイベントで表題の映画を観てきました。2012年の大ヒット作、主演はインドネシア映画といえば名前を観ない日はないレザ・ラハディアン。ある意味、インドネシア映画界の三池監督。

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映画の基となったのはamazonで「インドネシア国中が涙した元大統領の愛妻記。映画化されアジアの映画界の話題をさらい、各国で異例のベストセラーとなった。」と紹介されている、インドネシア第3代大統領ハビビの自伝。そっか、愛妻記…うん、愛妻家だったんだとは思う。ただ、映画としては山がなく微妙。
結婚までにこれと障害があるわけでなし。結婚後に大きな夫婦の危機があるわけでもなし。航空機の件もプロジェクトX的な見せ方はしていないので、なんかこう…地味。いや、いいんですよ。ご夫婦の温かい愛がずーっと感じられる映画でしたし。最後の最後、奥様の葬儀におけるハビビの写真(実際)からは、ものすごい喪失感が漂っていて涙を誘う。ただなあ…

(ネタバレですよ)

そう、奥様、先にお亡くなりになるのです。インドネシアでガンが発見され(ていうか、ハビビがそのことにやっと気づき)、既にステージ3か4。奥様を失いたくないハビビはそれこそもう、がむしゃらにドイツにまで治療に行きます。それはいいんだけど…亡くなったお年は73。年齢じゃないのはわかる。ただ、以前住んだ&先進医療がある国とはいえ、70を過ぎて海外(ドイツ)で長期入院、転移したガンを切除するのに複数回に渡る手術。管がつながって、友人に「帰りたい」と漏らすシーンは泣けた。渡航に至るまで、ガンは相当ゆっくりと進んできている。最初の手術で転移がわかった後、何度も手術してるけれど、もう完全に夫の執念。奥さんとしては管に繋がれて一人病室にいるより、気候も温かいインドネシアの思い出の家で家族とゆっくり過ごしたかったんじゃないかなあ、と思わずにいられなかった。ハビビのあの執念は愛なんだろうか…と。例えは悪いが、戦後の猛烈企業戦士が人生最後のステージにおいて、奥様に対する贖罪を変な方向に爆発させているように感じてしまった。

まあ、ご存命の本人著の自伝、さらにご自身が全体統括(アドバイザー)を務めている映画ですから、ハビビ視点なのは仕方ない。

筋に関係ないところで面白かったのは…
・ハビビを買収しようとする憎まれ役が荒井広幸そっくり
・ドイツの研究所、もしかしたらシン・ゴジラのスパコンと同じとこ?
・ドイツのシーン、なんちゃって度合はどのくらいなのだろう
・レザ兄さんのドイツ語は石原さとみの英語より断然いい。
・レザ兄さんは実年齢より上を演ずるのうまいよなぁ
・ハビビ&アイヌンの学生時代と成人後、もう少し似た俳優でお願いしたかった

映画上映後、留学生協会主催らしく「映画から学ぶこと」というディスカッションが設けられてました。まあなんていうか、若いって眩しいな、と思ったさ。理想を求め、掲げつつ、社会(世間)に出たらそればかりを言ってもいられない現実に気づきつつある留学生たちが熱く語ってました。がんばれ。つーかまぢ、独立から71年も経つわけですよ。スハルト退陣からも既に一世代。謎なノスタルジーに浸って折角得たものを失うことなく、瞬間湯沸かし器のような愛国心だか宗教心だかで分断することなく、新時代を築いてほしい。Indonesia, Bisa!(<この括りが好きな人ばかりじゃないのは承知してますが、他に言いようもないので…)

映画原作の自伝は邦訳出てます。amazonで1円(送料別)
ハビビとアイヌン: 大統領になった天才エンジニア、夫婦愛の半世紀