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武道必修化はトレンド?

文部科学省では、平成20年3月28日に中学校学習指導要領の改訂を告示し、新学習指導要領では中学校保健体育において、武道・ダンスを含めたすべての領域を必修とすることとしました。
武道は、武技、武術などから発生した我が国固有の文化であり、相手の動きに応じて、基本動作や基本となる技を身に付け、相手を攻撃したり相手の技を防御したりすることによって、勝敗を競い合う楽しさや喜びを味わうことができる運動です。また、武道に積極的に取り組むことを通して、武道の伝統的な考え方を理解し、相手を尊重して練習や試合ができるようにすることを重視する運動です。
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「固有の文化」への執着って”グローバル化”への反動なのかな。武道・武術はその辺と親和性が高いんだろうなあ…まあ、自分がその辺への執着が薄いっていうのはあるけど。

インドネシアではこんなんだし。
Ketua MPR Dukung Pencak Silat Masuk Kurikulum Olahraga
大意:国会議長、伝統文化の保全のためシラットの教育科目化を後押し

Prabowo Sarankan Pencak Silat Diperkuat Melalui Kurikulum Sekolah
大意:グリンドラ党党首、教育の場でシラットを通じて”健全”で伝統文化を尊重する次代を育てることを提案

お隣のマレーシアでも「シラットを必修化」の動きがあるみたい。

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そのうちベトナムではボビナムが必修になるのかも?

どうなるシラットinアジア大会 続き

「アジア大会にシラットなし(<正確には単体での実施はない)」の記事が出たあと、インドネシアのシラット界隈は蜂の巣をつついたような騒ぎになっていました。曰く、「自国開催でシラットないなんて信じられない」「シラットは既に正式採用されたって話だったのに何があった」「シラットをプッシュしないなんて国は自国文化をないがしろにしている」うんたらくんたら…
これを受けてインドネシアシラット協会幹部のErizal Chaniago氏がコメントを出しています。
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Salam Pencak Silat:
terkait berita yg diterbitkan oleh pihak jpnn : dpt kami jelaskan bahwa:
1. Berita tersebut adalah salah tulis oleh pihak jpnn, dan sdh diklarifikasi oleh bpk Sutan Adil Wkl Ketua Komisi X DPR RI.
2. Pencak Silat tetap dipertandingkan pd Asian Games 2018-Jakarta.
3. Menurut Wkl Ketua Komisi X DPR RI, justru memberikan penguatan dan meminta kpd Kemenpora, khusus untuk Pencak Silat mendapatkan dukungan penuh dari Pemerintah baik dari segi pengembangannya diluar negri maupun dari pembiayaan, krn Pencak Silat adalah salah satu unsur Budaya Bangsa,
4. Kami membantah bahwa berita dari jpnn tsb adalah Tidak Benar.
Terimakasih.
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要約すれば、記事は誤報・シラットはある ということですね。

また、騒ぎの元となった記事を出したところがSAH Siap Perjuangkan Anggaran Pencak Silatという記事を出しました。SAH氏、グリンドラ党だったんですね。グリンドラの党首はインドネシアシラット協会の会長さんですから、早々に訂正というか火消しネタを提供せざるを得なかったのでしょう。

結局のところ、シラットがアジア大会にあるのかないのか。恐らく「ある」と思います。ただ、それはインドネシアシラット界隈が思っていたような、オリンピック公式競技である柔道やテコンドーと同等に「単独競技」としての実施ではない。事実、昨日の投稿にも書いたように”最初から”シラットは「単独競技」としての実施予定の枠に入ってません。「格闘競技」の枠に入る複数競技のうちの一つです。複数競技がどのように種目化され、なにが実施されるのかはこれからのロビー次第だと思います。「格闘競技」というパイを空手・柔術・武術・シラット・クラッシュで取り合う(分け合う)ということだと推測します。

ではなぜ、蜂の巣をつついたような騒ぎになったのか。これはもう、メディアのミスリードが主な原因でしょう。繰り返しますが、OCA側が提示してきたのは「最初から」格闘競技枠の一つとしてのシラットです。それを「アジア大会でシラットが実施される!」という浮かれ騒ぎ(<敢えて言います)の中で明示しなかった(ゼロではないけど、保険の特記事項みたいな扱い)。報道や発表が「単独競技としてではないけれど」と断り書きを入れてさえいれば、問題なかったのではないかと思います。例え5分の顔見世だとしてもSWにインドネシア人俳優が出ていることに熱狂できるお国柄です。4年に一度のアジアのオリンピックで”どんな形であれ”シラットがある、と聞けば喜ぶ人の方が絶対に多い。でも、何も言われなければSEAゲームズと同様にシラットが単独競技として、アジア大会でテコンドーや柔道と「肩を並べる」と勘違いするのは当然。「肩を並べた」という誇りに満たされたのに、後から「格闘競技で一括り」と判明したら、騒ぎになるのは自明です。
例:Pencak Silat merupakan salah satu dari enam olahraga non-Olimpiade olahraga resmi termasuk dalam daftar bersama 28 cabor Olimpiade(以下略)
=オリンピック28競技と共に、プンチャック・シラットは非オリンピック6競技のうちの一つである
>>実際に非オリンピック6競技の一つであるのは「格闘競技(martial arts)」です。この格闘競技のうちの一つがシラット、となります。

さらに混乱に拍車をかけたのはシラット連盟。連盟には「単独競技じゃなくてもいい、まずはアジア大会での実施実績を得る」という現実を見据えた判断があるように思えます。つまり、アジア大会での実施決定はイコールで「単独競技として」ではありません。単独競技ではなくとも実施することに変わりはない。そのためでしょう、シラット連盟発の文書には「シラットが実施されることに決定」としか書いておらず、「格闘競技の一つとして」という但し書きがありません。報道に断り書きがあまり見られないのは、連盟の報道発表の文面に問題があったのかもしれません。

自国開催なのにシラットを単独で実施できないことに憤りを感じる向きは理解できます。報道等で勘違いしていたのではなおさらです。とはいえ、ここで国(インドネシア)が自国文化をないがしろにしている、連盟は営業不足だ、というのはちょっと違う。インドネシアでのアジア大会開催が決定した後、連盟がインドネシアシラット協会を中心に各方面に働きかけ、国もそれに応えて支援したからこそ、格闘競技の一つという形ではありますが「最初から」シラットがOCAの実施承認リストに入ることになったのだと思います。そして、既に名前を挙げられているがために、「応相談」の単独競技としてシラットを推すことができなかったのではないかと考えます。

まーあれです、白馬の元候補だったら単独競技だったはずだ、とか、国はもっと自国文化に云々、とかはもう飽きた。国の保護・支援なしには立ちいかなくなってしまえば、民衆が長く受け継いでいく文化の主流から外れた先細りの未来が待っているのですよ。そうならないために頼るべきは国ではなく、自分で立って地道に種を撒くことだ…と自戒と決意をこめて。

どうなるシラットinアジア大会

Disesalkan Asian Games 2018 Tanpa Pencak Silat
↑との記事を発見しました。簡単にいえば、インドネシアで開催される2018年のアジア大会に国が提案した開催地として特別に実施を希望する競技は自国文化に根差すシラットではなくブリッジであり、「プンチャック・シラット」単体では競技としてはおろか、公開競技としても存在しない、と。

2018年アジア大会はベトナムが開催地を返上し、インドネシアが名乗りをあげたことで、にわかにプンチャック・シラット界隈は色めきたったわけです。過去、開催地の種目が採用された例として、柔道(東京五輪で正式採用)、テコンドー(ソウル五輪で初公開競技)があるわけですし、野球は次の東京五輪で復活しますし。そりゃ、インドネシア開催でSEAゲームで採用されているシラットが不採用なんてあるわけない、と。耳に入ってくるのは、オリンピック競技である柔道やテコンドーのような「独り立ち」した競技として実施されるかのような話ばかり。でも、他の格闘競技からも「うちは2018年のアジア大会で実施される」と聞こえてきます。そんなに沢山の格闘競技をやるわけないわな…と疑問に思っていたのも事実。
聞くところではアジアオリンピック委員会(OCA)からの第一報では、オリンピック28競技(陸上、水泳、アーチェリー、バドミントン、バスケ、ボクシング、カヌー、自転車、馬術、フェンシング、サッカー、ゴルフ、体操、ハンドボール、ホッケー、柔道、近代五種、ボート、ラグビー、セーリング、射撃、卓球、テコンドー、テニス、トライアスロン、バレー、重量挙げ、レスリング)+6競技(セパタクロー、カバディ、スカッシュ、格闘競技、エクストリームスポーツ、(応相談))の全34競技の実施を承認する、というものだったようです。
記事には37競技が挙げられていて、オリンピック28競技以外の競技はスポーツクライミング、野球+ソフトボール、スカッシュ、カバディ、セパタクロー、クリケット、ボウリング、ブリッジ、格闘競技の9つ。28+9=37競技になります。
オリンピック競技外からOCAが当初、具体名を挙げて承認していた5競技に野球+ソフト、クリケット、ボウリング、ブリッジが加わっています。(スポーツクライミングはエクストリームスポーツの一種) 野球+ソフトは2020年の東京五輪採用競技です。クリケット…まあ、これは…競技人口多いですからね。大英帝国万歳。残る謎競技はボウリングとブリッジ。ボウリングは東京五輪採用一歩手前までいった競技ですから、まあ、いいでしょう。何故ブリッジ。ここにシラットを入れてくれれば…とは思うのですが、ここらで一つくらいマインドスポーツを入れて、今後の布石にしたいのでしょう。ブリッジの方が運営にお金がかからなそうだし。オリンピック競技外の「応相談」枠がブリッジかと。
では、シラットはどこにいくのか。曲者は「格闘競技」の枠。OCAが「格闘競技」として名指ししたのは空手、柔術、シラット、武術の4競技のようです。でも、「アジア大会で競われる」との話はこの4競技以外からも耳にします。さて、格闘競技の枠で一体何をどのように分配、実施するんでしょうか…
ちなみに第一報の時点で「エクストリームスポーツ」として挙げられていたのはパラ・グライディングとスポーツクライミングの”2”競技です。そこから採用されたのはスポーツクライミングだけ。てっきり、「エクストリームスポーツ」競技として2種目(実態は2競技)をするのかと思ってましたけど…これを参考とするならば、「格闘競技」として実施されるのは東京五輪正式採用がほぼ決定している空手のみ、となりかねません。あ、武術も東京五輪採用一歩手前までいってましたね。空手と武術の2競技?
いずれにせよ、シラットが全くなしの状態になったら、目も当てられないわ~日本じゃないから誰かが首をくくるということはないでしょうが、失意のあまりに気が抜けちゃう人、多そうです。そしてその次に、怒りの矛先を「国の名前を背負わず、事務的に進めた」と国、いや、政権に向けそう…
素直に開催地でナショナリズムな感情に訴えなければ採用されないレベルである、と思わないといけないんだと思いますが。実際、そうでなければ採用されないでしょうし、「格闘競技」の枠で実施されるのなら、それでもめっけもんです。ただ問題は、「次」がない競技・種目だと日本からの派遣が難しいってことだな。はてさて、どうなりますやら。