政治の季節

今回のインドネシア滞在は、国会議員選挙は既に終わり、大統領選挙候補者登録前というタイミングでした。映画The Act of Killingを鑑賞し、本名純氏の「民主化のパラドックス」を読んだ後に遭遇したいくつかの政治談義はなかなか興味深いものでした。

基本的にはジャワ人あるいはスンダ人、つまりはジャワ島でジャワ島のムスリムがしていた会話から、いくつか印象に残ったフレーズなど。

・Jokowiはアメリカとユダヤの手先のアンチイスラム
・Jokowiの結婚証明書に記載されている名前によれば、彼はクリスチャンで父親は中国人
・PKSにはサウジマネーが、PKIにはチャイナマネーが流れ込み、この2つを操ってインドネシアを混乱に陥れたいプランBをアメリカが実行中
・PKSを使ってインドネシアをエジプトにするプランAが失敗したからのプランB
・子供がアラブで学んだからと言ってそれを誇ってはいけない。何をどこで学んだかが重要で、エジプト帰りだからといってムスリム同胞団のシンパになって帰国してきては意味がない
・先に手を出してきたのはPKIで、彼らはサントリの殲滅を狙ってキアイの誘拐殺戮という手段に出ていた。それから身を守ったのに現在自分たちが殺人者扱いされるとは何たることか。65年までは軍の支援もなく、完全な劣勢の中で戦っていたのに全くなんということだ。
・PKIが力を盛り返してみろ、内戦の再開だ。ゆめゆめ油断しないことだ
・シーアはヤバい。シャハダの言葉も違う彼らをムスリムとは見做さない
・シーアとの問題が片付いたら、次はサラフィーとワッハービーをなんとかしないと
・ジャカルタを中国人の手に渡すわけにはいかない
・子供や孫の世代にきちんとした国を残すために、ここでPKIやシーア、アメリカや中国にインドネシアを売り渡すようなことになってはならない
・過去連綿と受け継がれてきたあれやこれやの信仰行為をハラーム(禁止事項)どころかビドゥワ(逸脱)としている地域がある、嘆かわしい。どこかって?”ソロ”だよ、この意味、わかるだろ?
・西洋諸国の分析はJokowi勝利一色。これは怪しい以外のなにものでもない
・指導された民主主義から民主主義と言われるものになった結果、今や全くの無秩序じゃないか
・中央政府の任命ではなくなった結果、各行政ポストの選挙のために無駄にお金はかかるし、選ばれる人間も碌なもんじゃないし、なにもいいことがない
・意中の候補者はいないけれど、誰かを選ばなければならないのであれば仕方がない、ムスリムに投票する

どの発言も真偽のほどは知りませんが、まあ”熱い”政治の季節が来ているようで。世界4位の人口を持つ広大な島嶼国家の庶民が納得できる大統領選とその後の5年となりますように。がんばれインドネシア。

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東京砂
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