Yasmine(邦題ドラゴンガール)視聴2

国際交流基金アジアセンター主催の無料上映会でブルネイ発の青春映画「Yasmine」を観てきました。なんやかやで、この映画を観るのは3回目。そんなにこの映画好きか自分・・・好き、というのとは少し違うけれど、血みどろじゃないシラットを見られる上、基本を押さえた王道青春映画なので飽きない。リピートできるというのは、やはり良作です。文科省推薦で高校生が観ればいいと思う。そして皆でシラット部を立ち上げよう!

映画の感想は初見のときに書いてた。 何度観ても「男を見る目がない女子高生の青春映画」という評価は揺るがないw とはいえ、繰り返しですがリピートできる作品なので、”知る人ぞ知る”を抜け出してもっと知ってもらいたい良作です。

無料上映会という太っ腹に加え、今日のイベントには監督のアフタートークがついていました。監督の話も面白かったのですが、質問内容も興味深いものでした。なんか久しぶりに「そうか、ノンムスリムとしてはそこが気になるか」的ないろいろが。具体的には「髪を染めたり飾ったりといった自由はあるのか」「アクションシーンやセクシャルな場面を見ることはOKなのか」「コーランの家庭教師は一般的なのか」といったもの。
監督の回答としては「公立校は制服の一部としてトドゥン(ヒジャーブのこと)が制定されているので、ムスリム、ノンムスリムに関わらず着用義務がある。が、学校の授業が終われば制約はない。放課後には外して構わない。」「イスラムマジョリティの国として検閲はあるが、それはセクシャルなものに行われる。アクションシーンは問題ない。」「家庭に教師が来るのは珍しいことではない。自分もその経験がある。」・・・だったかな。

折角なので自分も質問してみましたよ。この作品は王道青春映画なので、正直なところ別に舞台がシラット部じゃなくても成り立ちます。そこをなぜシラットに設定したのかを聞いてみました。簡単に言えば監督自身がシラットを好きだから、ということのようです。
曰く「自分は学生時代に体育の授業でシラットを習った。うまくできなかったけれど、他の人の動きを見るのは好きだったし、自分もあんな風に上手にできればいいのに、と思っていた。本作品のリサーチで高校を調べて回ったところ、空手やテコンドーの部活はどこにでもあるのに、シラット部はほとんどなかった。また、ブルネイ国内のスルタン杯では一般観戦者は皆無で、関係者と肉親しか観に来ていない大会は閑散としていた。これはすごくもったいない。”イケてない”というシラットのイメージを変えたかった。」と。
なるほど・・・どこも事情は似通ってるのですね。若い世代を惹きつける”cool”な要素がないと、本場の一角を担うブルネイでもシラットの先行きは楽観できない様子。

シラットに関係した質問には「あんなフルコンタクトな競技は危険ではないか。実際に行われているものなのか」というのがありました。確かにこの映画では実際の競技ルールをベースに脚色したルールで大会が運営されています。一番の違いは「防具なし」で「(わりと)なんでもありの攻撃」を行うところでしょうか。あれが競技シラットだとすると、フルコンタクトの頭部以外は全部狙う危険極まりないスポーツです。しかし、実際は防具をつけますし、防具で覆われたところ、つまりは上半身(頭部を除く)しか攻撃してはいけません。関節を狙うなんてもってのほか。
監督は「実際の競技では防具をつけます。が、絵として美しくなかったのです。亀みたいで・・・そのため、まあ、実際にはアクションシーンということで出演者は服の下にプロテクターをつけていますが、競技として防具は着けない形になっています。」とお返事されていました。亀みたい・・・確かに亀っぽいかも(苦笑)

映画は構想から完成まで4年、予算の都合で撮影自体は45日ほど、などの話も聞けました。そして次回作は時代劇の予定とか。チャーミングな監督、いい作品と面白いお話をありがとうございました。

ちなみにこの無料上映会、国際交流基金アジアセンターが主催する「FUN!FUN!ASIAN CINEMA」という東南アジア映画紹介企画のプレイベントでした。2017年初夏に本格スタート、いろんな作品を定期的に紹介していくそうです。暴力沙汰血みどろドジャブシュじゃないインドネシアやマレーシアのシラット映画を是非、お待ちしてます・・・JuaraとかCahaya Cinta Pesantrenが観たいです。

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